再録 レンジファィンダー機の流行
実はきのう、野営に出かけようかと少し考えていたのですが、時ならぬ弱い寒波の襲来が予測され、今朝の各地の気温、ならびに降雪状況などを確認して、やっぱり行かなくて良かったのかもしれないと思いましたっけよ。
もう一度、耐寒人体実験を実施したいとは思ってますが、あまり寒すぎるのはシャレにならなく、できれば最低気温は0℃くらいでお願い(^^ゞ
栄養不足のせいか、どうも頭が働かず、新ネタを思いつかない状態ですんで、またしても再録モノでお茶を濁させていただきます。
自分が真面目に使う撮影機材としてレンジファインダー機をまだ想定していない頃に書いたもので、使わず嫌いの匂いがプンプンする内容で申し訳ないのですけど(^^ゞ
以下、再掲になります。
一昨年あたりからレンジファインダー(RF)カメラが市場で元気だ。次々と新製品が発売され、レンズも続々と登場している。
カメラ業界が元気なのは結構なことだが、ひたすら便利さと自動化を追い求めてきたはずのメーカーとユーザーが、さほど便利とも思えない流行を作っているのはなんとなく薄気味悪いのも確かなのだ。
ここ何年か、シロウトさんがライカのMシリーズを平気で買ったりすることに驚いていた僕だが、昨今のRF機流行の端緒であった気がしないでもない。
なぜライカなのか。カメラ業界以外のカタログ系雑誌でやたらに紹介されるようになった、というのも理由として考えられるだろう。
アウトドア系雑誌でもよくライカは紹介されていた。徹底的に荷物の重量を節約したいバックパッキングの旅で、ライカM6を推薦するなんてのはひどい冗談だと思ったが、まんざらシャレで推薦されていたわけでもなさそうだったところが恐い。
徒歩の旅にはチープでよく写るカメラがベストだと思うのだがね。かつての単焦点ビッグミニシリーズみたいなやつね。
そうでなければ、盗難にあってもそんなに惜しくなく、軽くて手軽に確実に写せるカメラがよろしいと思うぞ。
もうひとつ、現代のカメラが面白くなくなったということもいえると思う。没個性な商品群。誰がシャッターを切っても同じように写ってしまう自動化。パソコン並の早さで発表される新商品。
マニアだけではなく、一般ユーザーにもそのへんが見透かされてきたということだとしたら、業界にとってこれほど不幸なこともない。
マニアは露出の精度やらレンズの描写にこだわりたくなるが、そういったユーザーは顧客のごく一部に過ぎない。大多数の一般人にそっぽを向かれたら、その商品はもうおしまいなのだ。
しかしRF機流行というのも本音は真剣なものではないだろう。静止画像を記録することだけならどんなカメラでも用は足りる。
記録された映像を写真として出力しなければいけない需要は漸減しつつあり、デジタルカメラが主役となりつつある。そんな中でのRF機流行は、趣味のオモチャ、あるいはアクセサリーでしかないのではないか。
RF機が有利だとされる点は、まずは軽量でコンパクトなくせにある程度はレンズ交換の許容があること。実際に撮影される画像よりも広い範囲をモニターできること。静かであること。これぐらいのものだろう。
機械としての魅力は副次的なものでしかない。お手軽にちゃんとした写真が写っていればいいという世情からすると、RF機にはあまり価値はないのだ。
そういうわけだからして、RF機ブームは写真を撮影するための道具としてカメラが認められなくなったということだろうか。まるで銀塩カメラの葬送曲のようで僕は薄気味悪く思うのである。
でもカメラ好きからするとRF機流行は嬉しいことではある。今までのRF機は骨董品に片足を突っ込んだような機種か、高価でなかなか手が出ないようなものばかりだった。道具として酷使したくても恐くて使えないのだ。それが流行のおかげで安価な機種も登場するようになった。これは単純に嬉しい。
コシナのBESSAシリーズは、ちょっと使ってみようかという気にさせる価格体系がいい。ある程度の写真に対する予備知識を要求されたファインダーレス機に続いて、真面目なRF機も安く登場した。物足りなければHEXAR-RFもライカもある。
おそらく現代はもっとも恵まれたRF機事情といえるだろう。いつ銀塩業界が崩壊するかわからない。買っておくなら今のうちである。(2000,1,30)
以上、再掲。
10年前に、私はこんなことを書いていたのですねえ。その後にCLを使う喜びにハマり、コンタックスGでRF機はそんなにナーバスなものでもないことを知り、まさか買うまではすまいと思っていたM5へ至ったわけです。
もしも銀塩業界が左前になっていなければ、おそらくベッサR3AかR4Aのどちらかに手を出していたでしょうなぁ。オートで使えるライカMマウント機が欲しかったですからね。
10年前だもんなぁ、と思いつつ読み返していたのですけど、現在のデジタルスチルカメラ市場が安泰だという保障は世の中のどこにもなく、既存のデジタル機に匹敵する写りの携帯電話内蔵カメラが登場したら、早晩業界は先細りですがな。
そんな意味で、上記の再掲モノを、「レンジファインダー機」を「マイクロフォーサーズ機」とでも置き換えていみれば、なんだかあの頃とあまり変わっていない気がしてしまうのは私だけでしょうか。
いや、マジでマイクロフォーサーズがウケてる理由を理解できてないのですよ・・・・。
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