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コダック雑感

 んー。イーストマン・コダック社の破綻について、かつては業界に籍を置いていた人間としてなにか書いたらいいのかもしれませんけれど、コダックと関わって仕事していた時期にいい思い出がありませんでね。思い出したくないというのが本音。

 コダックに関してこだわりがなくなっちゃったのは、一番はコダクロームが理由ですかねえ。
 私が学生から社会人になった頃は、コダクロームはここ一番に投入する「ご馳走フィルム」でしてね。

 高価なフィルムというわけではありませんでした。どこの店にも置いてあるというわけではなかったので多少は入手難でしたが、大きな店に行けば買えました。
 けっこう神経質な写りをする性格で、ハマると至高の写りになるんですが、ハズすとどうにもつまんない写りになるところが、扱いにくく、そして使い甲斐があったフィルムなのですよ。

 現像納期も一般的なリバーサルフィルムより長く、都内でも一般店では中2~3日でしたから、早く仕上がりを見たい撮影者としてはジレるもので。
 よほど気合が入っている時か、あるいはめったにお目にかかれないお宝被写体へ挑む場合などに使ってました。どーしても使いたくなる時もありましたが。

 田舎へ引っ込んでからは、現像納期の長さが気になりましてねえ。一週間もかかっちゃう。一週間も時間が過ぎると、撮った時の感覚や興奮がややもすると冷めていたりしまして。仕上がりを見てもピンと来なかったり。

 もうひとつ、フィルムスキャナを使ってパソコンへ読み込むようになってから、フィルムスキャナとコダクロームの相性の悪さがどうにも気になって。素晴らしい写りがデジタル上で再現できないジレンマですねー。

 重々しい写りが持ち味のコダクロームに対し、軽薄で派手なフジのベルビアと評されることが多かったと記憶していますが。
 ベルビアも低感度フィルムの良さを持っていて、露出を切り詰めて使えばけっこうシブい絵になることに気がつき。入手と管理のしやすさ、そして現像納期が田舎でも最長中1日という気軽さから、私はベルビアへ乗り換えたのでしたよ。

 高校時代はもっぱらトライXを愛用し、2倍増感でD-76の希釈現像がデフォ。カラーネガフィルムでは、日本市場へ流れてきた当初はISO125だったエクター100がね、いいフィルムでした。そんなフィルムなどに対する思い出はたくさんありますよ、そりゃ。

 コダック社はデジタルスチルへの取り組みが遅くはなかったと記憶しているんですが、どうもコンシューマー向け製品に見るべきものがなかった印象。完全に日本のカメラメーカーの後塵を拝していたかのように思えます。
 製薬会社や化学メーカーを派手に買収したりしていたことも記憶にありますけど、業態転換に失敗したというのが世間の一般的な評のようで。

 かといって銀塩文化の雄であるコダック社に銀塩のすべてを放擲されちゃうと、全世界的に困るでしょうね。銀塩フィルムの需要は極端に減ったのでしょうが、皆無ということではありませんから。
 銀塩で作品作りを続けている写真家もそうですが、日本のようにデジタル原版は裁判で証拠として認められない国もあるでしょう。画像編集防止フォーマットでなければ裁判には使えません(まったくダメということではないようです)。

 また、銀塩文化の継承のため、今まで投資してきた文化事業もあるはず。そういった事業まで停止してしまうとするなら、人類の文化遺産として残念なことではありますまいか。
 細々とでもいいから銀塩文化の火を消してはほしくないというのが、無責任な一写真ファンとしての願いであります。

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