既報通り、ジジイにゃんこが黄泉の国へと旅立ってしまいました。昨日17時過ぎのことであったそうです。
昨年あたりからめっきり動作がノロくなり、今年の春先から足腰の弱さが目立っておりました。
立っている姿勢から横になるのも億劫な様子で。私はあちこち怪我の経験がありますので、立ち上がるよりも横になるほうがキツい場合は多いと承知しております。見ているだけで辛そう。
そのわりに、私の食事の時間にはシャキーンとなり、いつものポジションへ移動して、いつもの通りに構えてはいたのですが。
それすらサボり、寝床で起き上がって恨めしげな視線を送るだけになった頃には、もうあまり長くはないであろうと。今年の夏は越せないなと密かに観察しておりました。
それでも私がオフクロの家に顔を出すと、それまで飯を食わないほど臥せっていたくせに、いきなり飯をねだり出したりなど、それなりにけなげなところは見せてくれておりました。
飼い主は明らかにオフクロなんですが、私の顔を見ると元気になったジジイ。きっと私といっしょの時間に楽しい思い出がたくさんあるのではありますまいか。
我が家へ来たのは平成2年。すでに大人一歩前の姿であったことから、推定で平成2年前半の生まれ。
ただし、ツラ構えがあまりよろしくなく、かわいくなかったんですね。しかも図体がやたら大きく。どうも前の飼い主さんからいじめられていたようで、とことん人間を信じていない状態でね、まま子扱いされて我が家へ来たんです。
最初にオフクロが徹底的に愛情を注ぎ込みましてなぁ。人間ってのはいじめるだけの存在ではないのだよと教え込み。
その後に私が帰秋し、人間相手に会話もできるのだぜと学習させましてね。おまえはまま子なんかじゃなく、家族のつもりでリクエストしてもいいんだぜ?と。
お互いに言葉はわからなくても、なにかしら語りたそうな時にはあいづちを打ったりして、懸命に聞いてあげたものです。
呼んでる時にはちゃんと返事をして。「こっち来て!」という時には面倒がらずについていって。なにをしてほしいのかと人間が必死に考えて。意思を読み取ることに集中しましてね。
他人から見たらバカみたいですが、そうやってコミニュケーションの努力をこちら側が払っていると知れば、ネコだってまんざらバカじゃありませんから、意思の疎通ができるのだと知るわけです。
私がリストラ食ってブラブラしていた頃は、もう朝から晩まで私から離れませんでなぁ。言うことを聞いてくれる人だから、ジジイからしたら便利な人。
いっしょに鳥の巣を見物に行ったり、ケンカ相手との果し合いに連れて行かれたり。ヘビの穴の前でずっといっしょに待ってたこともありました。刺激的なシーンはいつもいっしょだったんです。
オフクロが倒れて入院しちゃった時も、オフクロが会話不能の状態で事情を知るのが遅れ、24時間ほどジジイは放置されてましたので、私の顔を見てから、もー文句タレるタレる。
ネコといえど文句タレるのだなと、その時に学習しました。念仏のようにいつまでもニャゴニャゴと険しい表情で鳴き続けるジジイ。ああ、こいつは放置されて、ものすごく不安になっていたのだなと。
いじめられたことのあるヤツは、被害者の気持ちをよく知ってる分やさしく、そして同じ目に遭いそうになると強烈に反発するものです。そうか、また人間不信になりそうになったのだねと、その夜はジジイがくっついて離れないのでいっしょに寝たのでした。
オフクロがモーロクしてきたら、文字通りのネコかわいがりになってしまい、無理矢理抱き締められる度に私へ視線を寄越し、その視線がどう見ても「黙って見てないで助けんかいっ!」だったのは、いい思い出です。
私はあまり飼いネコを構いませんからね。声をかけられたり、あるいは様子を見ていて寂しそうだと、軽くなでてやるくらいで。人間の力はネコからしたらものすごく強いものでしょうから、あくまで軽く、ですがな。
今回、野営へ出かける途中でマタタビの木を見つけまして、またジジイに持って行ってやっかなーと思ったりしたものですが、夏場のマタタビはもう飽きちゃってたよなぁ、なんて気がついて。
野営へ出かけて帰ってきたら訃報を耳にするなど、俺は遊びに行ってる場合じゃなかったんじゃないかと若干の罪悪感。私の顔を見たら、もう一週間くらいがんばってくれたかもしれない。なんてね。
後悔したところで、亡くなった命は戻っては来ません。長生きしたから本望だとも思いませんし、おそらく老衰だけではなく病気を発症していたと私は読んでましたが(おそらく癌)、仮に手術となっても耐えられる体力は、もはやジジイには残っておりませんでした。
逝く時に逝ったのだなと。そう思うしかありません。押し付けがましいとはいえオフクロの愛情を一身に注がれ、農村ならではのノンビリした環境で過ごして。接する人間はみんなちゃんと返事してくれて。長生きしたのは当然なのかもしれません。
昨夜、室内の蛍光灯をつけてる時間帯にも関わらず、その蛍光灯の下をなにかが通過したらしく、大きな黒い影が室内を横切りましたよ。
そっか。ジジイは俺が住んでるアパートに来たことなかったか。ずいぶん探すのに時間かかったね。会いに来てくれたんだなぁ。
でもたぶん三途の川の前で、グルグルと回りながらニャーニャー鳴いてますぜ。オフクロも私もおらず、川の向こうでは死んだ親父が呼んでるはずで、唯一の知人なのですが、実はジジイは親父があまり好きではなくw
話が通じる人が誰か通りかからないかと待ってるか、あるいは川の手前に住み着いちゃってるかも。そんなヤツでした。あいつは。
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