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再録 Pentax 43mm F1.9 Limited for Leica L

 さあて、これを載せてしまうと、もうレンズ系再録ネタはなくなりますよ、というわけなんですが、まあ勢いですので。載せてしまいましょう。

 というわけで、以下再録分なのです。

 
 

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 密かに私はペンタックス贔屓である。しかも昨日今日の贔屓ではない。ここ20
年ほどペンタックス贔屓を続けてきているのだから、筋金入りである。
 そのわりに使ったのがエスピオミニだけだったりするし、やっと最近MXを手にすることができた程度の接点しかないのだけど、それでも贔屓なものは贔屓なんである。

 私が中学3年生であった頃、70-200mmクラスの望遠ズームというのは、学生にとってひとつのステータスだった。
 初心者というのは、一眼レフを手にすると、交換レンズはまず望遠を欲しがるもので、しかも当時は各メーカーからまともな望遠ズームが出揃った時期でもあった。
 カメラ雑誌のやることというのは、今も昔も変わらないもので、当時も「各メーカーの望遠ズームを徹底比較!」なんつって、対決記事のようなものをよくやっていた。まだメーカーがたくさんあった頃のこと、比較評価記事はけっこうなページ数を占めていたのである。

 そんな記事のひとつを見て、私はウムムと唸った。それはB/Wフィルムを使用して完全逆光のポートレートを補助光ナシで撮るという記事であった。けっこう意地悪なテストである。
 記事の内容は「さすがキヤノンとニコン、そしてツァイスはたいしたものだ」という要旨のものであったのに、掲載されているテスト画像を見れば、どう考えてもペンタックスのものがダントツの優秀さであったのだ。まだ鼻タレのカメラ小僧であった私でさえ、容易に理解できるほど違いがあった。

 まず逆光でもコントラストの低下がない。シャドーになっているモデルの顔がきちんと出ている。着ている服の模様もちゃんとわかる。そんなのはペンタックスだけであった。
 次点でタムロンのSPシリーズ。タムロンのものはペンタックスにコントラストでわずかに劣る程度であった。三番手でツァイス。キヤノンもニコンも、逆光に弱いとされるシグマのものと大差ない描写であった。

 私はずっとペンタックスのレンズに対して逆光に強い印象を持っている。何度かペンタックスのレンズを試してみようかというチャンスはあった。MZ-5の登場はそのチャンスのひとつだったのだけど、ファインダー視野が気に入らなくてやめてしまった。
 せいぜいエスビオミニのモダンな描写を楽しむ程度が関の山であった。あのシンプルな構成のレンズも、やはり逆光に強く、しっとりと写るレンズであったのだけど、コンパクト機のせいか、遠景には弱かった。

 私の頭の中に「ペンタックスのレンズは素晴らしい」という固定観念が据えつけられたままであったので、あのリミテッドの43mmがLマウントで発売されていたことを知った時、もう無条件で入手してしまった。あまり売れなかったらしく、とても安かったんである。
 無職になって暇な時期に、ゆっくりレンジファインダー機でも使ってみっかと考えていたので、タイミング的にもバッチリだったのだ。

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 だが最初の印象は決していいものではなかった。シャドーが妙に青くなり、ハイライト方面へのトーンが滲むようになるのだ。こんなもんなのか、とガッカリした私は、しばらく使わなくなった。

 それから2年が過ぎ、なんとなくまた持ち出して使ってみたら、これがまたなかなかの写りであることに気がついてしまった。押しつけがましいシャープさではなく、適度に抑えた描写なのである。
 日中はスッキリタイプの淡白さと、適度なコントラストが目立つ特徴に思えても、これが夕方などに使ってみると、いきなりシャープなのである。条件が悪くなればなるほど光る描写なのだ。

 トップに掲載したカットは、こりゃ非球面レンズでしょ、と私に思わせる写りなのだけど、非球面レンズは使われていないんである。普通の球面レンズだ。それでこれだけの写りをするとは、日中の写りからは想像できないものがある。
 安易に非球面レンズを使わないあたり、ツァイスにも似た哲学を感じさせてくれ、実はなかなかやるレンズなのではないかという疑問が私の中に生まれたのであった。

 レンズそのものはまったく素っ気ないものだ。外見は地味である。最短撮影距離は0.9mまでしかないし、フードは引き出し式の内蔵フードである。
 レンズの目盛りなどに使われている色使いが、これはペンタックスのレンズなんだなと感じさせてくれるくらいで、あとはいたって地味なレンズなのである。

 レンズ全長が少し長いかと思うくらいで、大口径らしい派手さもなにもない。とくに黒塗装バージョンは地味だ。地味だから私は黒のやつにしたんだけども。地味好きだからね。
 でも写りは地味っていうのと違うなあ。「控え目」っていう感じ。ギラギラしたところやガチガチした硬さがない。けれど色彩はちゃんと出てる。過度な現代的硬さがないだけで、白がけっこうすっきりと出る。

 以前に印象がよろしくなかったのは、使ったボディに問題があった。距離計が狂ってることに気がつかずにBESSA-Rを使用した。ピントが合ってないんだもの。そりゃ滲むように見えることもあるだろう。
 フィルムも一因かもしれない。どうもコダック系のフィルムは合わないのではなかろうか。フジクロームだとシャドーに変な青が出たりしない。このへんは相性の問題かもしれないけれども。

 私はカメラ側ファインダーの50mm枠を使って撮ってみたけれど、どうも広く写って困ってしまった。私の場合はむしろ35mmの枠で使ったほうがいい感じであるよ。
 でもレンズにはちゃんと43mmの外部ファインダーがオマケでくっついてくるのだった。43mmの枠と50mmの枠がついてるやつ。43mmも50mmもたいして違わない枠だから、それならカメラ側のファインダーの50mm枠でもいいべよって思ったんだけど、結果はずいぶん違うんだよなあ。

 世間の40mmにどうも納得がいかない方。とくにロッコール40mmに対してもうちょっと刺激が欲しいような方。変化球でペンタックスの43mmってのはいかがだろうか。
 普段は控え目ながら、いざとなるとモダンな描写に変身する性格は、なかなか奥ゆかしい性格だと思うのである。(2005,07,20)

 
 
 

 以上、再録分です。

 なかなか注目されないレンズですが、日本的な奥ゆかしさというか、光線状態が悪くなればなるほど真価を発揮するというか、通り一辺倒なインプレじゃなかなかわからんものがあるレンズだと思います。
 とくに斜光線の時間帯に威力を発揮するのではありますまいか。普通に使っても個性らしい個性の主張はなく、いたって地味なのですけれども、暗くなってくると急にキリキリとした描写になるんですね。

 おそらく絞りの増減による描写の変化も当然にある性格のレンズと思うのですけれど、残念ながらそこまで使い込んでない私なのですよ。
 今ならともかく、当時は43mmなんていう焦点距離をひどく苦手にしておりましたしねえ。奥に秘めたポテンシャルを感じつつ、使わなくなって久しいレンズになってしまいました。

 なのに、私は処分しようとしておりません。もしかしたら田舎暮らしでもまた銀塩を楽しめる時期が来るのではないかという、とても実現しそうにない環境を夢見ての話っす。

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コメント

pentaxに手を出したのは、ひとえに
fa43 limitedを使いたかっただけ、
というのは本当の本音。
ゆえにペンタの単焦点は未だこれしか持って
いません。
理屈じゃないんだ、本当に欲しくて・・・
という点ではミノルタのどのレンズよりも
強い思いで買いましたね。
そういえば最近使ってないなぁ。
今度お出かけしようかな・・・。

投稿: hk | 2011年3月 7日 (月) 23:57

43mmを使い込まなかったことを、今さらながらに後悔しておりますよ。
こういった奥床しい性格のレンズは、デジタル全盛の今じゃ
評価されないんでしょうけどもねー。
条件が悪くなってもきっちり仕事をしてくれるレンズ。好きです。

投稿: ビヨ | 2011年3月 8日 (火) 18:57

私はリミテッドレンズはこれしか持っていませんが
室内、点光源と悪条件でもきっちり写るし
好きな焦点距離なのでLXにつけっぱなしです。

AFでもMFでも使いやすい良いレンズです。
Kマウントではなくても同じ構成ですよね?

投稿: ぴゅんぴゅん | 2011年3月 8日 (火) 23:02

んーと、同じ構成のハズです。たぶんw
6群7枚だから同じでねかな?
点光源とか、いいっすよねえ、このレンズ。
派手さがないのに、よく光を拾ってくれる印象。

投稿: ビヨ | 2011年3月 9日 (水) 18:35

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