再録 Sigma 14mm F2.8EX HSM
立春ですねえ。旧暦が基本の季節分けとはいえ、たまたま今年の日本列島は立春にふさわしい雪融けでやんすねえ。
ええ、当地でもすっかり寒気が緩みまして、秋田市内は急速に雪が消えていってます。
北国の春ってのは、けっこう汚いもんでしてね。毎年書いていることながら、「雪融け」という言葉のきれいなイメージとはまったく違い、雪の下から汚いもんがたくさん出てくるんです。
雪が積もり始めた時期からずっと溜まっていた汚いものが顔を出し、けっして快適な光景ではないのですね。
本格的に春が来て、空気が乾き、普通に雨が降るようになって、ようやく冬の汚れが洗い流される。そんな北国の春。
寒気が緩んでくれたおかげで、毎週末の除雪行は免除の様子で、のんびりとした週末を送れるみたいです。
すっかり気が抜けておりますんで、今日も古い記事をコピーして済ませますよ。
以下、再掲なのです。
おお。シグマのレンズを登場させてしまった。いいのか?いいんである。どーせ私の寝言なのだ(^^;
シグマのレンズに対する世評を集めてみると、だいたい以下のようになるかと思う。「新製品開発に果敢なチャレンジを見せ、どんどん新製品が登場するものの、逆光に弱かったり色再現が物足りない場合あり。安価で軽量なのはマル」こんな感じか。
正直な話、最近でこそ描写もなかなかのレンズがあるけれど、シグマのレンズは逆光に弱く簡単に破綻しちゃうのは事実であった。
シグマのためにフォローしておくと、これはシグマのレンズがダメなのではなく、他社が対策をそれなりにいろいろ施しているだけのことで、むしろシグマのレンズがストレートスタイルなのだといえる。あれ?なんもフォローになってない?(^^;
まぁ描写だけではなく、AFレンズがたまに妙な挙動を見せる場合があるし、AF駆動音がゴソゴソと精密さに欠けたりする面もある。
がさつだとでもいうのかな。マニュアルフォーカス時代には変な色カブリをした安いズームレンズとか、開放F値の変化がボディ側にまったく連動していないものもあった。
けれどシグマの美点は果敢な新製品チャレンジにあると私は受け取っているので、全面的に遠ざけるつもりもないのである。シグマでなければ入手できないレンズっていうのは確実にあるのだから。
この14mmF2.8EXはそんなレンズの1本である。キヤノンのEF14mmF2.8Lは驚くようなコントラストと色乗りを併せ持つレンズで、価格なりのものすごさがあり、こりゃおもしれーなーと感じるレンズなのだけど、いかんせん簡単に買えるものではない。一般人としては論外扱いにしたほうが良さそうな感じである。
けれどシグマ14mmのなんと安価なことよ。同時期にタムロンからも14mmが発売されており、おそらくタムロンのものは私の好みに合う描写なのだろうと予想できたけれど、私はあえてシグマにした。
14mmという焦点域は常用するものではない。あくまでもワンポイントで使うものだ。ならば安価なことに越したことはないのではなかろうか。私はそう考えたのである。
別のタムロンAFレンズを使ったら、ゴソゴソしててなんだか動作が気持ち悪かったのもあって、超音波モーター搭載のシグマ14mmにしたのであった。
●シグマ14mmF2.8EX HSM \140,000 / \86,899
●タムロンSP14mmF2.8 \198,000 / \130,686
●キヤノンEF14mmF2.8L USM \307,000 / \214,189
いまちょっと価格を調べてみた(2011年・注 記事を書いた頃の価格)。メーカー上代でこれだけ差がある。実販もこれだけ差がある。ここだけの話、数年前の業界流通価格もこのくらいの差があった。
元から価格が違うんだから仕方ないけれど、もしもシグマとタムロンが同じ価格なら、かなり迷わせられる。かたや超音波モーター、かたや逆光に強そうなタムロンレンズ。でもなぁこの価格差じゃちょっとなぁ。立派なシグマの価格戦略である。
シグマの14mmというと、私の頭の中には旧タイプの描写が記憶にある。まだオートフォーカス一眼レフなんて存在しなかった頃のものだ。
その描写はとても荒々しく、線は太くザラザラしたもので、周辺光量は落ちて流れちゃう絵ではあったけれど、なにしろメーカー上代が6~7万のF3.5であった。このくらい写ってくれれば御の字というものである。
トライXと組み合わせると似合うのではないか、という荒々しさであったから、使うフィルムによってはなんらハンディのない仕様であったともいえる。
現行の14mmF2.8EXは、旧タイプの延長線上といえるような荒々しい顔を見せることもあるが、非球面レンズを投入したおかげで周辺光量の落ち込みは皆無に近い。ただし四隅はそれなりに荒れる。絞り込むことで解決できるレベルなんだけどもね。
私は14mmでこのくらい荒れるのは当たり前だと思っているので、むしろ歪曲の無さを美徳に感じる。きちんと直線が出ているではないか。たいしたもんである。
発色だってかつてのシグマ色ではない。黄色がかったぼんやりとした色調ではなく、きちんと色が出る。
コントラストもしっかりしたものだ。ゴーストが出やすいのはこのクラスのレンズはみんな同じ。そういう時は撮影の基本に立ち返ってハレ切りをしたらいい。きちんと価格なりの写りをしてくれるのだから、文句のあろうはずもない。
今でもシグマのレンズにはハズレのものがたまにあるらしい(2011年・注 最近はハズレレンズはないように思える)。そういう評判を目にすることもある。
けれど私はシグマのレンズに対して全面的に否定したくはない。妙に贔屓をしている。その理由がこの14mmF2.8EXなのである。
アタリハズレが極端でわかりやすいメーカーと考えればいいかもしれない。現行品でもあいかわらず逆光に弱いものはあるようだが、すべてのレンズがそうだというわけではない。
以前、70-200mmF2.8EXを使ったことがあるけれど、逆光でもなかなかのもんだった。明らかにカメラメーカーへケンカを売ってる写りである。商売に使うのでなければ文句のない写りだったよ。
というか、我々アマチュアは写りがうんぬんとヌカす前に、まずきちんと撮ることが重要だったりするではないか。(2004,09,16)
以上、再掲分。
今となっちゃ、かつての「安かろう悪かろう」のシグマさんなんて、もう隔世の感がありますな。
遅々としたカメラメーカー純正レンズの開発ペースを尻目に、思いっきりケンカを売るような仕様のレンズをガンガン出し始めた頃から、レンズメーカーさんは本気のレベルになり、ハズレのレンズなんてものは見当たらなくなりました。
超廉価なダブルズームレンズセットでさえ、それなりの写りのレベルにちゃんと達しているわけで、カメラレンズとしてもっとも大事であるはずの写りで及第。
搭載しているAFモーターがうるせえとか、本筋以外のところでは、メーカー純正レンズに劣る場合もあるでしょうが、価格が安い理由をきちんと納得して使う分には問題ないですから。
コシナさんだって昔は三流メーカー扱いされてたんですよ。シグマ・タムロン・トキナーの三強より格下扱いで、下請け専業みたいな。
けれど日本の光学メーカーはきちんとした技術を保持した上で、あえて廉価のために手を抜いていたことが今では明らかですな。ライカの一眼レフ用レンズを日本のメーカーが下請けしていたなんて、当時は驚きだったものです。
ちゃんと評価されればきちんとしたものを作れる。トキナーのAT-Xで火がついたようなこの流れの上に、日本のレンズメーカーさんはきっちりと勝負しているわけです。
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コメント
14ミリかぁ、俺は使えないなぁ。
24ミリでも使いこなせなかったし。
正直35ミリが広角の私的限界かも。
43ミリ、50ミリは良く使うけど。
80ミリ近辺は鬼門で全くダメダメだし。
135ミリの単焦点は速攻諦めたし。
なんでか次は200mm近辺を使うという
わけのわからないセレクトをしてますな。
超広角・中望遠が苦手な私なので
14mmなんて、何を撮っていいのか?って
感じになっちゃいますわ。
でもコンタGのあのレンズには憧れるね。
投稿: ぴゅんぴゅん | 2011年2月 6日 (日) 22:59
もしやホロゴン?
あの特殊レンズは、もう別世界の存在っしょ。
でも「それしかレンズがない」という状況なら、なんとか使うもんです。
20mm一本勝負とか。さすがに14mmは一本勝負できないけどw
投稿: ビヨ | 2011年2月 7日 (月) 19:10
そうそう、ホロゴン16mmです。
こないだオークション見たらまだ凄い値段で
出品されてましたよ。
誰が買うんだろうなぁ。
そういやコンタGのレンズをソニーのデジカメで使えるってアダプタが出てますね、中国製でしたが。
コンタのボディが壊れたらそう言う選択も
出来るってのはいいですね。
投稿: ぴゅんぴゅん | 2011年2月 7日 (月) 23:27