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再録 海鴎

  暑くなってきましたねえ。梅雨らしい雨は内陸部や山沿いばかりに降り、沿岸部はスルーされてるような昨今の雨。
 出かけてりゃきっと降られたことと思いますが、週末を自宅に閉じこもって過ごしてますと、ひたすら天気がいいだけの空がうらめしく。

 話は変わって、旧機材系からの再掲。変化球で海鴎っすよ。


Highou

 漢字で書くと「海鴎」。中国語ではハイオウと発音するらしく、誇らしげに横文字が刻印されている二眼レフ。やがてシーガルシリーズになる。シーガルは海鴎の英訳だったんだな。

 言わずと知れた中国人民大量生産的な粗製濫造モデルで、製造年数は長い。若者向けカメラ雑誌のCAPAでもかなり以前に紹介されたことがあった。

 当時の記事によれば、謎の同心円状のボケが出るとのことであり、掲載されていた参考カットを見ているうちに酔ってしまうくらいグルグル渦巻き。むむ。これではちょっとなぁ。

 ある日、新宿のミヤマ商会で見かけたら、なんと価格がたったの新品\9,000。これでもその後の価格に比べたら高いくらいのものだったけれど、大げさな大時代的フォルムに一目惚れして衝動買いしてしまった。

 機構に難点があることを表現すべく、店員さんから「必ずコッキングの前にシャッター速度を設定してください。修理不能ですから。」としつこく説明された。セルフコッキングとはいえ、難点はあるようだ。
 だけど夢中になって撮っていればそんなことは忘れてしまう。巻き上げてからシャッター速度を変更してしまい、案の定、壊してしまった。なんだっちょなぁ。

 どーせ修理不能なら遊んでしまえと、酒に酔った勢いでバラしてみたら、けっこう簡単な構造になっており、ドライバー1本で修理は完了。皮シボを剥がす手間が面倒であったくらいである。
 バラしたついでに、内面が素材むき出しであったのが気になっていたので、ツヤ消し黒のパクトラタミヤを塗ってみた。
 ラッカー系塗料ではパリパリと剥がれてゴミになってしまうので、エナメル塗料なら良かろうと思ったのである。安くてシンプルなカメラは楽しく遊べていい。

 肝心の写りは、おそらく改良されたのであろう、同心円状のボケは発生せず、いつも135サイズを使っているせいか、6×6の画面は大きくて楽しい。価格からしたら上等の自然な写りであると感じた。
 順光なら順光なりに、逆光では逆光っぽく、それなりにきちんと写る。なかなかシャープでヌケも悪くないではないか。
 しっとりさなどは期待してはいけない気がするし、階調表現に乏しいけれど、開き直ってリバーサルフィルムを装填してもイケちゃうんである。ちょっと重いカメラではあるんだけど。

 私は東京時代に初詣は中野の新井薬師と決めていた。初詣にはこのカメラを必ずブラ下げていき、近所のジジババから注目されてヒーローとなっていたことは言うまでもない。
 数年間は正月の新井薬師の風景に、このカメラを下げた私の姿が必要であったのだ。そのくらいクセになっていた。(2004,02,28)


 と、当時は書いておりますが、今となってはわざわざ海鴎やTEXARを選ばなくても、もっと軽くてよく写る二眼レフは中古でたくさん出回っております。
 あの頃(1980年代前半)はですね、安く買える二眼レフといえば、廃れつつあるフォーマットであった4×4機か、あるいは共産中国から渡ってきた海鴎=TEXARくらいのものでした。
 なにしろヤシカマット124の中古すら、簡単にお遊びで手を出すわけにはいかない価格帯で流通してまして、クソ重たいマミヤ330と220でさえ、ちょっと考えてからでなきゃ手を出せない感じでしたよ。

 ええ。ローライなんて、4×4なら非常に安く買えましたが、6×6となったら当時も高価でした。ローライコードだってそこそこのお値段でしたよ。ミノルタオートコードはまともなタマが少なく、プレミアがついてましたし。
 二眼レフのハードルが高く、そこに海鴎の存在価値があったわけです。確かに陳腐でプリミティブな構造のカメラであり、実に簡単にシャッターが故障してしまうシロモノでしたが、それでも二眼レフのメリットというものを体感するには十分でした。

 左右逆像のレフレックス。ピントグラスは外光が遠慮なく入り、気合を入れてガン見するか、あるいは補助ルーペをひょっこりと起こして使うか。
 けれど人間というものは、ウエストレベルファインダーを上から覗き込んでいる撮影者を、撮影者としてあまり意識しない生き物なのです。人間に限りませんね。生き物は下を向いてモゾモゾしてる撮影者をスルーするようにできてんです。
 そこにウエストレベルファインダー最大のメリットがあり、デジタル時代の現在であっても、ウエストレベルファインダーの効用をよく知っているスナッパーは、本気でデジタル版の二眼レフを望んだりするのですよ。

 そりゃ中判の一眼レフ機でもたいていはウエストレベルファインダーを選べたものですよ。けれどそういった一眼レフ機は、おおむねシステム化のおかげで重く複雑になってたりしましてね。
 マミヤ645の1000Sあたりならシンプルで軽いカメラだったでしょうが、マウントがそこそこ大きいのでレンズも大きく、二眼レフの機動性にはかないません。

 でも海鴎は軽くないんです。マミヤC330よりもは軽いと思いますが、ヤシカマットあたりと比べたら全然違います。海鴎はダイキャストだからじゃないですかね。全然機動性はないっす。
 外光式で多少の狂いはあったとしても、ヤシカマットなら露出計を積んでますんで楽ですし。最初の二眼レフは露出計内蔵のほうが楽ですよ。

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コメント

なるほど・・
露出計内臓ですね。
二眼レフも使って見たく。

ウチのワンコ、一眼向けると目をそらすんです。
レンズに私の目玉が写ってるのかな?
なんて思ってましたけど(笑)

投稿: ガキ | 2010年7月 6日 (火) 19:18

僕もTEXER使ってましたよ。懐かし~。
メカとしては、まったく信頼感がなかったけど
そのテッサータイプのレンズが意外にもキレて
驚いたのを覚えています。ただ、順光でも出る
気まぐれなフレアに悩まされ、後に手放しました。

密かにヤシカマット124Gはまだ手元にあります。

投稿: Kizao | 2010年7月 6日 (火) 21:55

> ガキさん
二眼レフの良さは、人物が画面に入ったスナップを撮る
ようになれば、自ずと理解できるものだと思います。
ウエストレベルファインダーで撮影者の存在感を抑え、
左右のパララックスを意識せず静かに撮れるカメラですけん。
んで、たいていは6×6ですから。原版サイズの大きさでも
説得力がありますね。と煽ってみる。
 
> Kizaoさん
TEXARご使用の件は以前に話題になりましたなぁ。
そうそう、テッサータイプでした。初期型の海鴎でレンズ
グルグルになったのは、テッサーだとすると納得がいく
とこです。
実は私のカメラをバラす体験は、海鴎が最初だったり
しまーす(^^ゞ

投稿: ビヨ | 2010年7月 7日 (水) 19:10

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