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第七駆逐隊海戦記

 XP2sはISO400なんだよなぁ。ヘキサーのシャッターじゃちょっとキビシーかな?

 というわけで、世間では流行の買い物で盛り上がっていても、すっかりビンボーな姿勢になってる当ブログとしては、物欲系の話題がすっかり鳴りを潜めております。
 しょうがねえじゃん。世間の大多数はビンボーな姿勢なんだもの。オカネのある人は贅沢したらいいし、ビンボーはビンボーなりに楽しめばよろしい。我ながら正論ですな。

 以前、都会と田舎では通貨の価値そのものが違うという話を書きました。収入レベルに格差があるのに、物価はほとんど変わらないのですから、そりゃ田舎のほうが生活は苦しくなります。当たり前。
 挙句にシェアやら人口カバー率という考え方がまかり通ってる世の中なので、田舎はインフラもなにも都会に劣り、なんぼ都会で盛り上がってるガジェットであったとしても、田舎じゃ使いこなす状況になかったりして、話題のiPadに関してにぎやかに伝える首都圏発のマスコミ情報に接しても「どこの国の話だべ?」というのが正直なところ。

 日本は相変わらず都会重視の国なんですな。文明開化以降、まったく構図が変わっておりません。
 これでも世界的に見れば国民全体が平均的な生活水準の国だっていうんですから、よその国はもっとひでえんだろーなと、中国あたりの生活格差の派手さ加減を見ると感じます。

 田舎でしか享受できないものは、しっかりと拾って生きてかなきゃならんなと思いを新たにし、さーて野営に出かけようかと張り切ってる朝に、いきなりシトシト雨が降ってんのはやめてほしいぜ・・・・。

 話は変わりますが。最近、変な本を読んだのでご紹介。

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 ミリオタの定番である光人社NF文庫の中から、『第七駆逐隊海戦記』。いわゆる戦史系の本とは違い、下っ端であった個人が当時を思い起こして書いた内容でして、若干の事実誤認と思われる記述はあるものの、艦内生活のリアルさが漂っていておもしろかったっす。
 戦史研究の立場にあるオタクのみなさんからしますと「フザけてんじゃねーよ!」という内容であろうと思いますが、個人体験系の戦記をこのところ好んで読んでる私は楽しく読めました。

 駆逐艦ってとこがミソでして。いわゆる「車曳き」と自嘲する小艦の乗組員は、お高くとまった戦艦のような上品さはなく、巡洋艦のような若々しいパワーはなく、実に吹き溜まりなんですね。
 当時は成績のいい軍人は大艦である戦艦へ配置され、張り切りボーイは巡洋艦という感じでした。
 駆逐艦に配置されるのはそこそこの軍人か、あるいは能力があるのに生活態度最悪みたいな人材が多く、大変に庶民的な人間が揃うわけです。

 フネそのものが小さく垣根がないので、上下の垣根も低くなり、全艦家族的団結も生まれがち。与えられる任務も雑用が多い小艦ながら、いざ強力な敵艦隊に出会えば、一撃必殺の酸素魚雷を抱いて突撃する威勢の良さ。
 規則なんかクソ食らえ。うまいものが食えていい女を抱ければそれで良し。そういった人間のナマの欲望を出しても許される所帯が、小艦の雰囲気といえましょう。

 同じ小艦でも潜水艦はちょっと違いまして、ぼんやりしてる水兵がひとりでもいると艦の運行に支障が出るデリケートなフネなので、優秀な人材が配置される傾向が強かったようです。
 また、潜水艦というのは沈没する際に上から下まで一蓮托生なので、家族的な雰囲気はもっとも強かったと思われます。名前だけの士官室なんて、ただの通路でしたから。艦長の個室なんてないのも同然。プライバシーがないと、必然的に上から下までひとつになるもんですな。

 また、駆逐艦や潜水艦というのは、当時の基準からしたら軍艦ではありません。補助艦艇です。
 当時の軍艦というのは、艦首に菊の御紋章があります。天皇陛下のフネなわけですね。

Ryujo_front

 頭でっかち空母の龍驤の艦首に、燦然と菊の御紋章が輝いております。けれど駆逐艦は正式な軍艦じゃありませんので、菊のマークはありません。艦長も正式には「駆逐艦長」であって、軍艦の艦長に相当するのは駆逐隊司令です。
 したがいまして各駆逐艦に軍医や主計尉官は乗艦しておらず、もっぱら下士官がその任にあり、駆逐隊司令部(といっても小所帯ですが)が大艦での艦長以下首脳陣の機能を果たしてました。

 つまり格下扱いのフネなのですよね。駆逐艦というのは。先の戦争では一番活躍したのが駆逐艦だというのに、扱いは最後まで格下だったのですよ。
 このへんは日本海軍だけならず、どこの国でも似たようなものでして、優秀だと目された人材(つまり品行方正で試験の成績がよろしく、責任転嫁とゴマスリが上手なタイプ)は大きな艦に配置されたものです。

 防御はないに等しく、小銃弾でもプスプスと穴が開く外板の脆弱な艦艇は、爆弾一発で沈んでしまうほどのものでしたが、高速で航行することが可能で運動性はピカイチ。
 なにより搭載している必殺の酸素魚雷は、2本もブチ当てれば戦艦でも行動不能になるほどの威力を秘めたもので、裸一貫で抜き身の刀を携えて殴り込みをかけるようなもんです。それが駆逐艦というものだったのですね。

 そんな駆逐艦生活の一端を具体的に示していて、『第七駆逐隊海戦記』はおもしろいのでした。偉いさんや艦長クラス、士官連中が書いた戦記は多いのですけど、下っ端が書いたものは少なく、そういった点でも視点がおもしろいのですよ。
 勝ち戦のまま筆者が地上勤務に転勤してますので、最後まで明るい筆致であるところも救い。ドロドロのどうしようもない状況であっても任務に邁進しなければならない辛さはありません。

 戦争というのは単なる破壊行為であり、無駄に人命を消耗し、最前線だけではなく母国すら空襲で損耗していく総力戦という形が現代型の戦争であり、まったく無駄な行為だと大多数の人類が気がついた昨今。
 けれど、その戦場にあるのは人間です。戦場という異常な環境にあるからこそ見えてくる人間の美しさと醜さ。いわば人の生き方とでも表現できましょうか。
 それが戦記モノから得る最大の教訓であると私は考えています。戦争反対だから、それに関わるすべてから目を背けるという日本人独特のノリとは、まったく真逆のスタンスでありますね。

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