サンダース 再び
「こちらホワイトルーク。チェックメイトキング6、応答せよ。」
「・・・・ホワイトルーク、また同じ施設へ潜入したというのは事実か?」
「その通り。なお、潜入というのは不正確な表現と思われる。警戒中と思しき兵士がいたため、速やかにこれを排除した。」
「それは潜入ではなく強行ということでよろしいか?」
「警戒中の兵士が警報を発報した状況はまったく確認できず。強行とまではいかず、奇襲といえる。外部からの敵援軍等は考慮すべき状況にない。」
「ホワイトルークへ。了解した。」
「今回も怪しいものを発見した。今から画像を送る。」
「了解。送信せよ。」
「怪しい紙包みを発見した。これは東洋における薬品を小分けにするパッケージではないかと思われる。」
「・・・・当方のデータベースでも確認した。日本においては薬局や医院でかつてはポピュラーなやり方だったようだ。主に粉末の薬を包むために使われている。」
「おお・・・・。続けて画像を送る。」
「ホワイトルーク、この白い粉末はなにか。」
「・・・・。いわゆるひとつのアレではないかと思われるが、判定用の試薬を準備していないために現状では判断できない。」
「ホワイトルーク、この画像はなにか。報告せよ。」
「おそらく精密な計量器と思われる。・・・・なんてこった。1万分の1グラムまで軽量できる精密さだ!」
「そこまでシビアに重量を管理しなければいけない用途とはなにか。現場観察の上で報告せよ。」
「チェックメイトキング6、もうアレとしか思えない。ここはアレの秘密工場なのではないかと思われる。」
「周辺に原料となる植物の畑などはなかったか。」
「現状では確認できてはいない。ただし周囲は人気のない原野や林が続いているため、原料の栽培は可能と思われる。また、警戒についていた兵士が、この施設の重要性を物語っている。」
「警戒していた兵士について詳しく報告せよ。」
「相当な階級にある将校と思われる服装だ。少々年齢は越していたが、紺色の軍服に白い手袋をしていた。ただし訓練はまったくされていないようで、無抵抗に等しく、当方の必殺延髄切りで一撃であった。なおこれはプロレス技ではなく、本当に刃物で切りつけたことを報告しておく。」
「つまり確実に倒したというアピールか?」
「その通り。」
「ホワイトルーク、少々待て。新しい情報がある。」
「ホワイトルーク、情報を送る。」
「ホワイトルーク、この右側の人物の服装が気にならないか?」
「ジーザス、こいつと同じ格好をしていた。年齢も近い。やはり将官だったか!」
「ホワイトルーク、将官は東芝EMIの玄関で応対したりなどしない。こいつは日本でケイビインと呼ばれる、初老の民間衛士だ。つまりガードマンである。退職者の再就職先として日本では人気だ。」
「・・・・なんだと?ということは、俺たちはリタイヤした年寄りを倒しただけってことか?」
「まったくその通り。民間人を犠牲にしたということだ。」
「ファックオフ!やっちまったか・・・・。」
「民間人に犠牲を出したことは明らかに国際問題になる。速やかに撤収せよ。」
「チェックメイトキング6。それでは奇襲作戦の意味がなくなってしまう。アレを調べてなんなのかを報告してから撤収する!」
「って、おい。ホワイトルーク、ただちに撤収せよ。これ以上、現場にいては危険だ。地元の警察機関が動き出したら収拾がつけられない。ホワイトルーク、応答せよ。ホワイトルーク!・・・・」
「チェックメイトキング5だか6。まだ回線は開いているか。どうぞ。」
「ホワイトルーク、そこまで熱心に現場へいる必要はない。速やかに帰還の上、白い粉末を提出し化学検査へ回せ。」
「ナッツ!俺は現場主義だ。現場ですべての謎を明らかにする。」
「だがアレの判定キットは今回の装備に含まれていないはずだ。」
「その通り。だから俺が自分で試してみた。注射器もなぜかあったのでな。」
「ホワイトルーク!前回も警告したが、この会話は合衆国政府によって管理されている。重ねて警告する。」
「へへ。俺はよお、管理だの成績だのよ、そういうものが大嫌いなんだ!」
「この通信はすべて記録されている。警告する!」
「うるせえよ。作戦上の必要はなく、単なる興味で潜入してみたんだ。きっとこういうオマケがあると思ってなぁ。」
「ホワイトルーク、ただちに離脱せよ。繰り返す、ただちに離脱せよ。」
「おお、チェックメイトなんとかさんよ。ここはどうやら動物園らしいぜ。アレの工場ではなさそうだ。」
「実験動物を確認したのか。報告せよ。」
「いや、これはかなりの珍獣だぜ?なにしろピンクの象がいるんだからよぉ。・・・・あらら。動物園じゃねえかもしんねえぞ。7年前に死んだ親父が手招きしてやがらぁ。おかしいな。親父は死んだはずなんだが(以下略)」
※ 白い粉末はフッ化カリウム。残留塩素検査用の試薬です(^^;
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