« 体調悪いよorz | トップページ | 休日出勤でした »

再録 Tokina AT-X24-40mm F2.8 for CANON FD

 機材系旧ほんたわ再録についてですが、銀塩全盛の頃に元ネタを書いた事情もあり、現在の市場とはまったくマッチしていないことを堂々と書いているアナクロ懐古親父的雰囲気がプンプンしちょります。
 よって早めに再掲しておいたほうがいいのかなと、ネタがない時は再掲攻撃を頻発させようかと思ってマス(^^ゞ

 で、以下再掲なのですよ。

P022kr

 古いレンズで申し訳ない。このレンズを中古屋で見かけても、おそらくコーティングが変質していると思う。たぶん変色して写るのではないかという危惧がある。
 トキナーの古いレンズが必ずそうなるというわけではないが、なぜかこの24-40mmだけはそういうケースが多いらしい。ゆえにオススメはしない。

 レンズメーカーと呼ばれる会社は、現在では3社ある。シグマ、タムロン、トキナーである。
 スリコールもリライアンスもいつの間にか見なくなってしまったし、コムラーも消えてしまった。オオサワは倒産しちゃった。サンレンズやテフノンも知らない間にいなくなり、コシナはもはやレンズ専業ではなくなった。

 私がこのレンズに手を出した80年代というのは、レンズ専業メーカーが現在よりもずっと格下に見られていた。カメラメーカーに対しての格下である。
 価格が安いのは取り柄だけれど、写りはカメラメーカーのレンズにかなわない。そういう不文律が業界を支配しており、「貧乏人はレンズメーカーを使え」というようなノリであった。
 まだまだ不鮮明な写りしかできなかったズームレンズを積極的に開発したのはレンズメーカーで、カメラメーカーに比べてズームを重視した商品ラインナップは「隙間商売」なんて言われた。ひどいものである。

 現在ではレンズメーカーとはいえ、カメラメーカーに真似のできないユニークなレンズを開発し、むしろカメラメーカーのほうが遅れているような状況だ。
 シグマがいち早く超音波モーター搭載レンズを発売し、モタついていたニコンをぶっちぎって、まるで純正レンズのようにニコンユーザーへ愛されたのは記憶に新しいところだし、28-200mm高倍率ズームはカメラメーカーがレンズメーカーの真似をしてラインナップに加えるような有様。それだけレンズ専業メーカーが市場できちんと認められる時代になったのだ。

 レンズメーカーは常に野心的なスペックのレンズを開発し続けてきたが、80年代前半にはまだまだ安かろう悪かろうであった。カタログスペックこそすごいものの、使ってみると「イマイチの写りやな」という感じ。
 ズームの倍率ではものすごいレンズだったり、驚くほど安く超望遠レンズを発売していたものの、使うとなると躊躇することも少なくなかった。だから格下に見られていたのである。そんなレンズ専業メーカーの最初の革命が、このトキナーのAT-Xシリーズであったように思う。

 AT-Xシリーズは4本のズームレンズから始まった。24-40、35-70、60-120、80-200の4本。どれも開放F2.8である。
 当時としては革命であった。F2.8コンスタントのズームレンズというものがだいたいにおいてほとんどなかった。あったとしても、購入するのを躊躇するような価格と大きさである。
 AT-Xシリーズは価格も大変にリーズナブルであった。それまでレンズ専業メーカーが発売していた価格帯からすると、若干高価にはなっていたが、カメラメーカーにはない高級スペックで、しかも価格はカメラメーカーよりずっと安く、写りは高レベルであった。
 当時のレンズ技術では最短撮影距離こそ短くするのは困難であったようだが、それを除けば完璧に近い仕様で登場したのである。

 中でも35-70mmF2.8はニコンユーザーにウケた。ニコンにはそういうレンズがなかったからである。しかも写りはニコンユーザーも納得のレベル。売れないわけがない。
 報道関係でもトキナー35-70mmは愛された。ニコンがモタついている間に、すっかりトキナーレンズの実力が市場で認められてしまったのだ。
 60-120mmはハンパな焦点距離が災いして販売量が伸びなかったけれど、ポートレート派の間では密かに名レンズと噂され、販売中止後はマニアの間で奪い合いになる始末。80-200mmは現在でもトキナーの定番レンズとして確固たる地位にある売れ筋だ。

85tok04

 私が珍しく新品で入手した24-40mmは、当時としてもハンパな焦点距離設定ではあった。当時、広角ズームといえば、キヤノンFDの24-35mmF3.5Lが名レンズと呼ばれ、このクラスは非球面レンズ技術で進んでいたキヤノンの独壇場であった。
 私はキヤノンユーザーだったから、素直に純正のレンズを買えば良さそうなものだが、とても買えるような値段ではなかった。中古でもおいそれと手の出ない価格であった。そのくらい広角ズームというのは貴重な存在だったのである。
 そこへ安く、しかも明るいレンズが登場したのだから、買わない手はなかった。毎日キヤノンの純正レンズを、中古屋の店頭でタメイキついて眺めていた頃である。

 ズームリングとピントリングがそれぞれ独立しているところがいい。2リング式というやつだ。AF時代になって当たり前になったこのやり方も、当時は直進式ズームリングと2リングのどちらが使いやすいのかなど、カメラ雑誌の誌面をにぎわせていた。
 2リング式は広角~標準ズームに使われることが多く、望遠では少数派。理由は2リングにすると製造コストが上がるからである。
 それをカメラマスコミは「直進式ズームは咄嗟のズーミングに対応できてスポーツ向き」なんて解説してお茶を濁していたものである。今も昔もカメラマスコミのやることはあまり変わりがない。

 この24-40mmF2.8はなかなか鋭い写りであった。ランタン系のガラス素材を投入し、高コントラストとヌケの良さを狙った設計が功を奏したか。おそらくHOYAと提携した意味があったのだろう。
 ハイライトの描写は弱い気がするけれど、その他は良好であった。例えるなら、ニコンのキレにキヤノンの発色という感じである。どんな感じなのかご想像いただけるだろうか。
 当時はニッコールがいまひとつの発色であったから、人によってはニコン純正よりもいいと感じたかもしれない。
 レンズ外見がニコンっぽいせいもあり、ニコンユーザーに売れたようではあった。私のようにキヤノンFDマウントで使っていた人は少数派だろう。

 コーティングの弱さは初期のAT-Xの欠点かもしれない。おそらく24-40mmだけではないだろう。だから保護用のフィルターは必要だが、24-40mmは当時としては超大口径の72mm。高価なフィルターになる。
 しかも薄枠のフィルターなんてその頃はなかったので、ケラれるのを覚悟で72mmの普通のフィルターを使うしかなかった。安くレンズを調達してもオカネが追加でかかるのであった。
 コーティングが剥がれると黄色が強くなってくる。また、未確認情報ながらコーティングの劣化が激しいという話もある。この場合も黄色~赤系に傾くようだ。

 閉口したのは別売のフード。いくら調べてもどんなデザインのフードかわからず、どうせ使うのだからと仕方なく注文してみたところ、なんとこれがただの金属の輪っかみたいなもので、装着するとダサいわ、効果があるのか疑問だわ、すぐに使わなくなってしまった。フードがあるのに使わなかったのは、後にも先にもこのレンズだけである。

 そう。トキナーのレンズというのはどこか野暮ったいところがあるのだ。最近のAT-Xレンズは(あれでも)かなり洗練されているように見える。
 現行のAT-X28-80mmF2.8PROを手にし、なんとトキナーもシブいレンズを作るようになったもんよのう、などと感じ入ってしまう。だがよく見ると、ヘリコイドの距離表示書体が、かつてのAT-Xシリーズと同じ。ひとつ間違えるとただの古臭い書体だったりする。
 普及価格のレンズでは、まるで先祖がえりしたかのような古臭い外見のレンズを新発売したりする。そこがトキナーらしい気はするんだけど。

 トキナーのレンズは硬めの描写であることが多い。だからシグマやタムロンの同クラスと比べるとシャープに見える。そして近年のレンズは色ノリがきつくなってきている。
 AF駆動に超音波モーターを使わないが、動作音質への気遣いが感じられ、騒々しいとは表現できないレベルに抑えられている。
 野暮ったいというキーワードの他に、トキナーのレンズには常に真面目さが漂う。メーカーの良心と形容してもいい。硬めの写りが好きな私にとって、トキナーをひいきにする理由はちゃんとあるのだった。

 今でも3本ほど売らずにEOS用のトキナーレンズを所有している。ユニークさと開発フットワークの軽さではシグマに軍配が上がるが、私はトキナーのお役所的な生真面目さを支持する。(2004,05,10)

 以上、再掲。

 そう。問題はAT-X28-80mmF2.8PROだったのですよ。28-70mmのベストセラーレンズを技術的余裕で28-80mmにしたのかと思いきや、かなり無理をして80mmまで広げたらしく、望遠域で絞りを開放にしてみると、もう現代のレンズの写りではなかったっすよ。ボヤボヤのグルグルで。
 トキナーさんに裏切られたような気分になりましたっけね。生真面目さを支持してたのに、こういう手抜きを平気でやってきやがんのかと。それ以来、トキナーのレンズは買おうと思わなくなりましたよ。

 ガッツリ重いのは金属素材で丈夫に作ってあるからだと思いたいですが、最近のエンジニアリングプラスチックはけっこうタフですし、衝撃で凹んだままになる金属の弱点は樹脂素材に少ないですからなぁ。
 ワンタッチでMFに切り替えられる機構も、ガチ!と大きな音がして、壊したかと思うような音。単純に小さなスイッチで切り替えてもいいかな、と思いました。

 けれどですね、単焦点のAT-X17mmを使ってみると、超広角域といってもいい画角なのにピシッとした写りで、しかもデジタル機で使ってみてもイケちゃうという余禄もあって、デジタルだと変に眠くなっちゃうレンズとはかなりの差があるのでした。
 AT-X20-35mmも平気でデジタルで使えちゃいますしね。32-50mmくらいのつまんない換算焦点距離になるので実用はしませんが、キスデジで試し撮りしたら普通に写ってましたっけよ。

 そんなこんなでトキナーのレンズは新規調達しませんけど、実は一切処分せず、すべて手元に置いてあります。密かにヤル子達ですんで。AT-X28-80mmだけが難儀な性格だったと思いたいです。

|
|

« 体調悪いよorz | トップページ | 休日出勤でした »

旧機材系・再録」カテゴリの記事

コメント

はーい、トキナー大好きですっ。
28~70と80~200のAT-XPROは
今でもデジタルに銀塩に装着しておりますっ。
硬い感じがとっても良い。
私の好み。
写りが悪いと言う人もおられますが。
私には十分すぎる良いレンズです。

投稿: ぴゅんぴゅん | 2009年12月 5日 (土) 22:07

ATX-270は僕も使ってました。それまでEOS5に普及クラスのEF28-105mmしか付けたことがなかった僕にとって、衝撃的な画質だったことを今でもはっきり覚えています。色乗りがこってりしていて、順光では非常に抜けも良かったです。ちょいと線は太めでしたが、そういうところもしっかりとした画作りにはマッチしてました。

あれで最短が70cmじゃなかったらなあ…(^_^;

投稿: エンゾー | 2009年12月 5日 (土) 23:08

ぼくもZ1-pの頃はATX-270を付けっぱなしにしていましたよ。
確かにあのフードは、いただけなかったなぁ(w
後から思ったのは、ニコンマウントにしてF801-S用にしとけばよかったと。
F801-Sには、シグマの同スペックのレンズにしちゃって失敗したんですよねぇ。


投稿: Kizao | 2009年12月 6日 (日) 00:24

私も昔はトキナーを愛用してましたよ。

最初は、AT-X400AFでサーキットでクルマ追っかけてました。
このレンズも開放ではパッとしなかったけど、日中にコダック コールド400を入れてF8~11位でに使う分には十分でした。
なんせ、高校生が小遣いとお年玉貯めて買える金額だったのは嬉しかったですね。

次は、AT-X 280AF PROを買ったんですが、仰るとおり望遠開放出の描写に満足がいかず、
しかも、花形フードのロックがすぐ緩くなり、撮影中緩み何度ケラレた事か……
その後、会社の先輩にタムロン SP AF 28-75mmF2.8を譲ってもらったので、益々出番が無くなりました。
ミノルタαマウントのラインナップが無くなった事もあり、以降トキナー製は買わなくなりましたね。

トキナーのカチッとした生真面目さは好きだったので、残念です。

投稿: GTI | 2009年12月 6日 (日) 12:15

やや。古いトキナーのレンズにみなさんがこんなに食いつくとは。意外デス(^^;
 
> ぴゅんぴゅんさん
写りが悪い、と言う人は、なにをもってして悪いとおっしゃってるのか、よくわからんですよね。
80-200ですと、先頭切って登場したこともあって、後発他社と比較した場合に限り、見劣りする場面があるのかもしれませんが、そんな比較すんのカメラマスコミだけw
 
> エンゾーさん
28-70mmは35-70mmに次ぐヒット作でしたもんねえ。
とりあえずEF28-105mmでしのいで、いよいよ手を出そうと思ったら80mmまで広がってましたんで素直にポチッたら、というオチでした(^^ゞ
 
> Kizaoさん
ホント、初期のAT-X、フードだけはいただけませんでしたねえ。ただの金属の輪っかみたいな。
今みたいにネジ込みの花型フードがあったらね、話は違います。
ああ、でも24-40mmじゃあのフードはダメか(^^;
 
> GTIさん
そうそう、花型フードの固定が甘い気がしますですね。
「このまま使ってたら確実に緩くなるよな・・・・」と使っててわかるのはなんとかしてほしかったっす。
28-80mmのあの謎のグルグル。よく商品化のゴーサインが出たもんだと思います。
望遠側で開放にしなきゃそれなりに使えるレンズなんですが、望遠側を使いたくなる時って、絞りを開いてることが多いですからね。標準ズームは。

投稿: ビヨ | 2009年12月 6日 (日) 17:41

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 体調悪いよorz | トップページ | 休日出勤でした »