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再録 Minolta M-Rokkor QF40mm F2

 ミノルタ系の機材って、ライツミノルタCLしか使ったことないかも。レンズ設計はライカだっていう話なので、純粋にはミノルタのレンズではないのかもしれないけれどですね、いいレンズだと思ってます。マジで。以下、再録。

P9726m40t4

 4本目もマイナーなレンズである(2009年注・掲載当時に取り上げた4本目のレンズとして)。メジャーなようであまり使ってる人がいないMロッコールの40mmなのだ。ライツミノルタCLの標準レンズである。

 名機CLはライカとミノルタの共同開発というか、製造をミノルタに委託したというか、二つ名のブランドを持つレンジファインダーカメラである。
 レンズマウントがライカMなのだけど、レンズの距離情報をボディ側へアナログ的に伝えるカムがライカMと微妙に違う形状であるため、正確な連動を疑問視され、Mロッコール40mmはCL専用レンズといった扱いになっている。

 だが私はCLにネジ込みアダプタをカマしてLマウントのレンズを普通に使っていたし、Mロッコール40mmをライカM5へ装着して当たり前の顔で使っている。
 厳密には無限遠がきちんと出ないらしいが、無限遠にヘリコイドをがっつり回して撮ることなど皆無に近いので、まったく気にしていない。ライカファンが眉間にシワを寄せてコボすほどの障害なんかないと思っている。(レンズやボディとの相性問題もあるらしく、Mロッコール40mmとライカMの組み合わせは、うまくいく場合とまったくダメな場合があるらしい)

 二つ名のCLには、ライツミノルタCLとライカCLがある。ミノルタ販売用とライカ販売用である。ミノルタ版にはMロッコールQF40mmが、ライカ版にはズミクロン40mmがくっついていた。
 3群4枚構成のエルマリート40mmF2.8というレンズも存在しているものの、あまりにも製造本数が少ないため、すっかりコレクターズアイテムと化しており、実用性は皆無に等しい。
 エルマリート40mmはテッサータイプなのにボケがおかしくならないとのことで、ちょっとヨダレが出るものの、とても私が入手できるような製造本数ではないので(必然的にプレミア価格のレンズであり)、一生縁がなかろうと思う。

 Mロッコール40mmには3種類ある。『MロッコールQF40mm/F2』、『Mロッコール40mm/F2』、『CLE用Mロッコール40mm/F2』だ。
 QFつきとナシは単に刻印の違いだとされる。つまり外見から中身まで同じらしい。CLE用は若干軽量化し、レンズ構成は同じでもレンズ形状が違う。おそらく描写にも差はあるのだろう。
 またCLE用はライカレンズと同じく平行カムを使用している。CL用は傾斜カムという特殊なものである。私が使っているのは初期のMロッコールQF40mm/F2。もちろん傾斜カムが前提のレンズだ。

 Mロッコールもズミクロンも両者共に同じ設計だとされ、コーティングもまったく同一であるというが、レンジファインダー界のお約束によって、ライカブランドのズミクロンがありがたがられるようだ。
 実際、レンズ前玉周囲の刻印以外はそっくりな外観である。ほぼ同一といってもいいだろう。
 私自身、ズミクロン40mmを使ったことがないので偉そうなことはなにも言えないけれど、Mロッコール40mmは「空気が写っている」という表現がピッタリだと思う。
 「空気が写っている」という表現は、その場の湿度や匂いまで写り込んでいるかのような描写について使われる。これはガチガチのリアル描写という意味ではない。なんでもかんでも克明に描写するのではなく、その場の雰囲気をしっかりと写し込むという意味だ。

Mrqf40

 現代的なレンズ描写の基準からすると、おそらくMロッコール40mmはたいした性能ではないのかもしれない。古臭さが顔を出す時もある。1973年のレンズなのだ。
 だが優しさがある。現代のレンズを、鵜の目鷹の目で重箱の隅をほじくるワイドショーリポーターと例えるならば、Mロッコールは「ご隠居さんが優しく地域の子供たちを見守っている雰囲気」といえる。あるいは無邪気に微笑む女性を優しく見ている彼氏の視線とでもいうか。優しいだけではなく、ちゃんと見守ってる安心感というかな。うまく表現できないなぁ。
 脳内リアルさ。その場にいた人間が知る空気を再現しているような描写をするんである。それを「空気が写っている」と私は表現したいのだ。

 レンズ本体が非常にコンパクトであり、そのくせ操作ノブのおかげで使うのが楽である。ミノルタ製のゴムフードも収納が楽でいい。
 ゴム製フードというのは年寄り臭く感じてあまり好きではない私だが、このMロッコールについては素直に便利だと感じる。下手な金属製フードよりも反射の心配がないのも実用的なのであった。

 ライツミノルタCLといっしょに我が家へ来たレンズであるため、レンジファインダー機を使うという初体験と共にあったレンズでもある。いつもCLといっしょのレンズであったけれど、CLの露出計を壊してしまって、すっかり出番がなくなった。
 一方、ライカM5を調達し、最初はペンタックス43mmF1.9Lを使ってみたのだけど、43mmという画角がどうにも難しく、転がっていたコシナフォクトレンダーの35mmF1.7Asp.を装着してみた。M5は35mmレンズを標準として使うようなファインダーだからである。
 だけどコシレン35mmF1.7Asp.は生易しいレンズではない。かなり神経質なレンズである。なんとかならんもんかなぁと思ってみると、Mロッコール40mmがあることに気がついた。

 ペンタックス43mmをしばらく使ったせいもあるのだろう、前はいまひとつおのれにフィットしなかった40mmという画角が「悪くないね」と感じるようになった。ペンタックス43mmもまた使ってやらなきゃな(^^;
 どうせレンジファインダー機。厳密なフレーミングなんか最初っから無理なのだ。ファインダー内の枠は単なる目安にしかすぎない。だから私は50mm枠を使い、ちょっと窮屈かなというくらいのフレーミングで気楽に使っている。腰が引けがちなビビった撮り方をしてしまう私にちょうどいい感じなのだ。

 ヨソ様のBBSで、ミノルタCLEが特殊なフレームの出し方である点を指摘させていただいた私だが、ようは慣れりゃそんなの気にしないで使える。カメラというのはしょせん道具でしかないのだから、自分が良ければそれでいいのだ。ただし、そんな私の考え方を押し付けたりはしないけどもネ(^^;
 かわいく思って使っていれば、自然と不便さや欠点を自分でカバーするようになるものだ。
 それはなにもカメラやレンズだけではない。世の中のあらゆる道具と名のつくものはそうであるし、また自分が愛する人についてもそうであろう。欠点を含めてすべて愛している。そう思えれば、たいがいの恋愛はうまくいくものだ。(2004,03,31)

 以上、再録。

 フェイバレイトな道具と彼女を同列に置くような不穏当な表現で〆ちょりますね。例えるなら彼女ってのはクルマやバイクが一番比喩として合っているように思えます。
 こりゃ気合入れるしかねえべ、というようなワインディングロードで、読み通りにピタリとラインがハマり、微妙にケツが流れつつもアクセルの踏み加減で調整しながらギリギリのバランスで立ち上がる。
 「立ち上がる」っていう表現を使ってしまうあたり、バイク上がりの私の素性を物語ってますか。すいません。

 でもね、機嫌を損ねると果てしなく手間がかかるクルマやバイクをどうして愛しているのかといえば、そういう手間のかかるところも含めて愛しているわけでして。
 で、私はよくコメントするわけです。あそこが好きだのなんだのと、スラスラ口から出てくる程度なら、そりゃ各項目について合格点を出しているだけで、本当に愛してんじゃないでしょと。
 よくわかんねーけど、こいつの欠点もすべて含めて、とりあえず俺はこいつが好きなんだよ。そう言い切れる感覚じゃなきゃ、ホントに好きだとは言えないのじゃないかと。

 そのへんを表現する言葉が「かわいげ」だと思うんです。人も道具もかわいげなくちゃね。そのかわいげは「けなげさ」や「真摯な姿」と置き換えられるかもしれませんけど、完全無欠が正しい姿なのかといえば、少なくても趣味の道具と女には完全無欠なんざ求めていません。私は。

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コメント

何度となく読んでいるはずのこの記事ですが、
読むたびに新鮮な感じがして、勉強になります。
使ってみたいけど、使うことはないだろう機材:
TC-1に続いてまたしてもミノルタなのでした。

投稿: Kizao | 2009年10月21日 (水) 17:54

過分なお褒め、ありがとうございます(^^ゞ
 
硬いレンズが好みであった私の大きなターニングポイントになったレンズでして、思い入れが深いのでした。
この絶妙なバランスはなんなのよ?という衝撃ですね。
硬からず、かといって柔らかすぎるわけでもなく。きちんとコントラストがあって、しかもほどほどに細部も描写していて。
なおかつ落ち着いた色調を保持しつつ、適度に湿度が写り込んでるとでもいうか。
 
でも一眼レフのロッコールを試そうとはしない私なのでした。
万が一、XEに手を出すことがあればわかりませんが、確率的にゼロですね。
銀塩でなにかを試そうということは、都会に住んでない限りあり得ないと思います。

投稿: ビヨ | 2009年10月21日 (水) 18:08

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