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再録 今後の写真業界を勝手に占う

 へー、こんなこと書いてたんだぁ。未来予測に関する記述というのは、偉い人が書いた論文であっても、あるいは無名の人が書いた覚書でも、その未来から振り返って読み返してみると、おもしろくもあり悲しくもあり。

 というわけで、10年前にこんなこと書いてました、という記事があったので再録。以下、再録です。

 銀塩の先行きというものに不安を感じるユーザーは少なくないのだろうけれど、業界にいる僕もはっきりと不安を感じている。
 ひたすら安くなっていくDP代。そのくせしてなかなか減らない経費。デジタル方面へ切り換える土建業者。などなど、少なくても現像所にとっては喜ばしい要因はなにひとつないのが現状なのである。

 かてて加えて、かつてのカメラメーカーはすでに銀塩カメラへあまり力を入れなくなり、銀塩だけで食っていけるメーカーは皆無という状況になってしまっている。どのメーカーもカメラ以外の商品がメインになってしまっているのだ。
 少なくても日本国内において、今後は銀塩が縮小傾向になっていくことは間違いない。写真専門店と現像所の淘汰がしばらくは続くことだろう。

 ただし銀塩そのものの供給はなかなか減らないのではないかという憶測も成り立つ。日本ではパソコンの急速な普及が遠因になって銀塩を圧迫している側面があるが、まだまだ銀塩でメシを食える国は世界に多い。
 そこへフィルムなどを供給するメーカーが存在する限り、日本国内においても感材の入手はできるはずだ。コスト高になることは避けられないかもしれないが。

 日本よりもパソコンの普及率が高いアメリカにおいても、保守的な層はかなり多いから、コダックあたりは銀塩でしばらく食っていけると思われる。
 西欧においても保守的な市民が多いから銀塩はしばらく大丈夫なのではないだろうか。

 しかしカメラの供給となると怪しいものはある。高価なカメラを求める層というのは日本以外では極めて少ない。日本で一般市民が簡単に買えるクラスが発展途上国では精一杯のカメラということになる。所得レベルの差ですな。
 そうなると、今後のカメラ供給は普及機が中心になっていくことは間違いないし、一眼レフよりもコンパクトカメラがメインになるのではないか。一眼レフなどはごく少数の専門的な人間だけが必要とするものになる可能性は大きい。

 キヤノンのEFマウントはデジタルカメラでも使用できる対応性があるから生き残る可能性はあるが、その他のメーカーはどうだろうか。ニコンやミノルタあたりの資金力が比較的にあるマウントぐらいが残れるかもしれない。
 深刻なのは旭光学あたりではないか。レンズの描写には定評があり、カメラ製造から撤退させるにはあまりにも惜しいメーカーである。将来的にメジャーになることが必至なデジタル一眼レフのレンズ専門メーカーとしてでも生き残っていただきたいものである。

 ただし現状の200~300万画素クラスのデジカメでレンズの描写が云々と語るも笑止、もっと細かい描写が可能でなければレンズ専業メーカーの存在価値がなくなってしまう。せめて500万画素以上、ノイズ発生を減らさなければ描写に言及できるだけのものにはならない。

 いずれにしろ、環境汚染と銀の浪費が伴う銀塩システムは早晩壊滅する運命にあることは間違いない。機械式のカメラなどは、工業芸術品としての価値しかなくなることだろう。
 なにしろ個人でフィルムや印画紙を製造することは限りなく不可能に近い。幕末の日本の写真師並に苦労する。個人で銀塩システムを維持することは不可能に近いのである。

 欧米の保守層が銀塩を見限る時が来たら、それがおそらく銀塩の終末ということになるだろう。発展途上国に対する供給は中国あたりが担当することになり、先細りになっていくだけになる。リサイクル性の高いデジタルシステムは時代の要請ともいえる存在なのである。
 アメリカの銀塩業界では、おおむね向こう25~30年は銀塩システムが生き残る、と試算されている。この根拠は、現在デジカメを使いこなせない層が世の中からいなくなるまで、という意味でしかない。
 我々はせいぜい今のうちに銀塩の高画質と臨場感、そして表現性を味わっておくべきである。そのうち、銀塩カメラを操ることが非常に贅沢な世の中がやってくる。現在、業界としては厳しい現状ではあるが、ユーザーがコストをかけずに銀塩写真を楽しめる最高の時期ともいえるのである。(1999,11,20)

 以上、再録。

 予測が当たっているところがあれば、考えすぎてるところもあります。一眼レフが普通の人と縁遠くなるという部分は甘かったですねえ。潜在的な一眼を使いたい欲求を持った人は世の中にたくさんいるということでしょうか。
 完全に予測がハズれてたのは、中国がいつまでもアナログデバイスの国だと決め付けてたことでしょ。今や台湾を追い越す勢いのデジタル普及で、いつまでもフィルムカメラを使ったりはしないかもしれません。

 田舎で銀塩趣味を続けることが難儀になる時期も、あの頃に予測していたより遅かったですよ。

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