再録 Pentax MX
Kマウントネタとしてはこれくらいしか書いていないのではないかと思われるMXを再掲しますよ。以下、再録。
我が家に来た経緯について、『たわごと』ではすっとぼけてみたが、実は広島のぴゅんぴゅんさんから「よろしかったら使ってみませんか?」と以前からオファーをいただいていたのである。
「よろしかったら使ってみませんか?」と以前からオファーをいただいていたのである。けれど、金欠状態のため銀塩封印を自分に課していた私としては、いただいたとしてもすぐに使用の感想を述べられず、それでは失礼になってしまうと遠慮していたのだった。
で、再就職が決まり、銀塩封印を解く日の記念品というような形で、50mmと135mmがセットになったMXが我が家に届けられたのであった。
梱包を開いて、なにが驚いたかって、MXってこんなに小さかったのかー!であった。中古カメラ屋の店頭で何度もMシリーズは見ている。にも関わらず、オリンパスOMの小ささの印象が強かったのか、そんなに小さいとは思っていなかった。
なのに現物を手にすると、ペンタックスMシリーズはなんと小さなボディであることよ。実際の寸法はオリンパスOMよりも小さいのだから。
こういった70年代末期の一眼レフを手にして感じるのは、このくらいの大きさで金属ボディの一眼レフがきちんと製造できるという事実である。
もちろんボディが小さいだけではない。一眼レフの命たるファインダー像は大きく見え、これが一眼レフとして当たり前のことだった時代なのである。
昨今のデジタル一眼レフのファインダー像を、もはやファインダー像などと呼称してもいいものか。あれは単なる光学ファインダー像でしかない。そう断言したくなるほど、本来の一眼レフというのはこういうものであったと痛感させられる。
両目を開いて使うのが一眼レフの正統な作法なのだけど、50mmレンズを装着して、利き目で見ているファインダー像と、反対の目で見ている周囲の景色が同じ大きさである。本来なら当たり前のことだったのだ。
ペンタックスMシリーズは、オリンパスOMに対抗するかのように、コンパクトさを売りにしたシリーズである。徹底的に小さく、けれど普通に使える一眼レフを目的に作られた。
そもそものオリンパスOMは、ライカMシリーズのボディにペンタプリズムを載せただけの大きさであるのだから、ペンタックスMもそういった大きさなのである。機材を軽く小さくまとめたいからといって、高価なライカMを選ぶ必要がないシリーズなのである。
極端なコンパクトさの追求は、オプションとして三脚装着用のスペーサーが用意されていることからもわかる。MXを三脚に固定しようとすると、三脚の座金がレンズに当たる。レンズ外径よりもボディのほうが小さいのだから極端なんである。
レンズの絞り直読窓がついているのがいい。私はずっと一眼レフにしか装備されない絞り直読窓に憧れてきてる。ニコン機もそうだし、一部のコンタックス機もそうであった。
ファインダーには設定絞りと設定シャッター速度が表示されていてもよかろうと私は考える。機械的にレンズ絞りを表示しようとするなら、直読窓しかなかろう。
MXはシャッター速度も表示される。ファインダー視野内に飛び出しているのは私の嫌うところなのだけど、スケルトン表示で視野を潰してないから許す。むしろ表示される利便性のほうが上だ。
そしてシャッター速度の横に5点LEDで露出が表示される。LED表示の機種は一瞬で露出偏差を把握しづらい性格を持つが、5点もあればかなりイメージ的に露出偏差が把握しやすい。
針表示よりも偏差を理解しづらいLEDの欠点を補うべく、いかにもペンタックスらしい工夫だなあと思うのは、LEDが色分けされている。5点のセンターが緑。その外が橙色。一番外が赤。信号機と同じである。
ペンタックスというのは、ユーザーサイドに立った細かい工夫が散見され、メーカーの良心性を感じさせてくれる。これは旭光学ではなくペンタックスに社名が変わっても同じなのではなかろうか。私はそう感じている。
気になる点は、たまにレリーズボタンが引っかかる。これは機械式シャッターなら大なり小なりあることで、程度の問題である。むしろ私は指先にシャッター機構の動きが伝わってくるので、積極的な欠点だとはぜんぜん思っていない。
というか、もうペンタプリズムのペンタックスのロゴの上に「ASAHI」と刻印されていることだけで、すべてを許せてしまう。旭光学の気合とプライドと良心がそのロゴに刻まれているように感じるからである。
なんか誉めまくってしまったけれど、こういう目立たない中級機なのに、コンセプトがしっかりとしているカメラは、モロに私の感性にヒットしちゃうのでしょーがないんである。
MXはほかのMシリーズ機よりも地味な存在だ。MX以外はすべてAE機であり、マニュアル露出機は高級機のLXへと昇華していくわけで、そういった点でもMXというのはもっと注目されていい存在だと思う。
このシリーズではAE機にもMGという目立たない名機がある。私が勝手に名機だと思ってるだけなんだけど。飾り気のないシンプルな絞り優先AE機だ。
チマチマしたAEの露出補正操作が面倒だと感じるユーザーには、ぜひこのクラスの一眼レフを一度は使ってみていただきたい。露出情報表示の幅が広い機種なら、AE機に負けない速写性があると私は思っている。
とくに雪の中で撮る場合など、露出補正は当然必要で、しかも場面によって補正幅は違うから、AE機で補正を切り替えるよりも、絞りやシャッター速度ダイヤルを回してズラすほうが早かったりなんかするんである。
現役で発売されていた当時から、MXというのはプロの匂いをあまり感じさせない機種であった。ギンギンのプロ機ではなく、さりげなく仕事の相棒として確実に働いていた印象である。
写真館の遠足同行や、雑誌の取材用といった目立たない存在に例えたらいいかもしれない。タフなプロ機もいい。けれど過剰なタフさを求めないのなら、このクラスのコンパクトさは圧倒的メリットになるはずだ。(2005,04,21)
以上、再録。
MX様に限らず、この頃の一眼レフというのはなにか「ワクワクさせてくれる」ものがあったように思うのですよ。
もちろん、自分がいろんなものに興味を抱くような年齢の子供であったことも、この時代のカメラが自分の脳裏に深く刻まれている理由でもあるのでしょうけれど、メカニカルな金属製の道具としてのカメラ美学と良心、というようなものがあったように思えるのですね。
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コメント
素晴らしいですね。MXも文章も^^
以前BBSでも話題になりましたがやはり
この時代のカメラが一番「持つ喜び」を
味あわせてくれるのだと思います。
投稿: Kizao | 2009年9月21日 (月) 23:55
リバーサルを使うのが困難な環境になってしまいましたので欲しがりませんが。
ミノルタXEだとか、ニコンFEには今でも未練がありますよ。
きっと新鮮な感動がそこにはあるんだろうなぁと。
投稿: ビヨ | 2009年9月22日 (火) 18:43