« 角館の続き | トップページ | SIGMA DP2 その8 »

再録 Cosina Voigtlander Snapshot-Scoper 25mmF4

 久しぶりにスナスコ25mmを使ったので、それについて再掲。以下、再録です。

P9600l25e3

 コシナ・フォクトレンダー、略してコシレンのレンズ。私、けっこう使ってる。本数は5本くらいだが、とくに使うのは25mmと15mm。スナップショットの冠名がついた目測式のレンズだ。
 目測式ということは、レンジファインダー機にくっつけても距離計はまったく動かない。そりゃそーだ。連動していないんだから。
 レンズの距離表示を見ながら、こんなもんだろうと距離を置く。そう、この「置く」という言葉がぴったりなんだよなぁ。

 コシナのLマウントレンズシリーズには目測式のレンズが2本ある。25mmと15mmは、BESSAシリーズ立ち上がりの当初に用意された2本のレンズである。
 BESSAシリーズはファインダーレスなのに露出計を搭載しているBESSA-Lから始まった。ファインダーがなくて距離計も搭載していないわけだから、レンズも距離計に連動する必要がない。そういう意味での目測レンズなのだ。

 目測式なんて面倒なんじゃねえの?と思われる方も多いと思うが、これが使ってみるとそうでもない。25mmくらいになると被写界深度が深いため苦労せずにピントを設定できる。
 「こんなもんだよなぁ」でピントを合わせると、フレーミングも「こんなもんだよなぁ」になってくる。レンジファインダー機というものは正確厳密なフレーミングが困難な場合が多いものだが、「こんなもんだよなぁ」という精神は撮り方に合っているといえる。

 そういったアバウトさを感じるのは私だけかもしれないが、レンジファインダー機を使うためには「アバウト」というのは必要な要素なのではないかと思っている。
 ファインダー視野はおおまかな撮影範囲の目安でしかないし、フルマニュアル露出機であれば、そこそこの露出に合わせるしかない。無段階制御のAE機ではないのだから、ピッタリ正確という露出にはなりにくい。
 そんな計測的、あるいは機械精密的なことよりも、撮影者本人がどういう露出で撮りたいのか。どんなイメージで撮りたいのか。撮影者本人の意思を前面に出さざるを得ないカメラがレンジファインダー機なのだと思う。
 だから頭の中で絵を描きつつ、操作のほうはアバウトでもいいんではないかと。それでもきちんと写っているのだからたいしたものである。カメラというのは親切なのだ。

 コシレンのレンズはリリースされた世代によって写りが違うように思える。BEESA-LからRまでの、初期の目測式レンズ2本を含めた数本が第1世代といえると思う。35mmF1.7Asp.、50mmF1.5Asp.、75mmF2.5あたりである。完璧型の写りではないように感じる。
 暗部がべったりと潰れやすく、ハイライトも飛びがちに感じる。色再現こそクセのないものだけど、全体的にはあまり誉められたものではないかもしれない。ストライクゾーンが狭いという感じ。使う場面を選ぶ。

 これがレンジファインダーブームをあてこんでぼったくった価格で売られているとなると「てめー」なのだが、そうでないところで私には許せる存在なのだ。
 25mmを買うと外部ファインダーもセットでくっついてくる。このファインダーがすっきりしていてなかなか見やすい。ボディがなんだろうが、距離計が死んでようが関係ない。外部ファインダーがあって距離計は連動していないレンズなのだから。
 ネジ込みのLマウントならばリングをカマせばライカMでも使える。25mmは小ぶりなレンズであるので、M型ライカよりもむしろCLやCLEなどのコンパクト機のほうが似合うかもしれない。

Sss25b

 ごく気軽に使えて、アバウトに使えるコンパクトな25mmレンズである。私はライツミノルタCLにくっつけて遊んでいた。なにやら特注の25mm固定スーパーコンパクトカメラの代用といった趣ではあるものの、リコーからGR21が発売されるまで、超広角レンズをコンパクトに持ち歩くなんてできなかったことなのである。

 私はどーも広角レンズをコンパクトにしたがる人間で、かつてはミノルタのP'sが24mmレンズ固定機だというのでヨドバシカメラへ走った。もう15年以上前である。
 だけどP'sはパノラマ専用機ということでがっかり。それ以来GR21の登場まで私の望むカメラは登場しなかったんである。そんなわけだからCLにコシレンの目測25mmでも十分に楽しかったのだった。

 今はライカM5を使っているから、じゃあコシレン25mmを使わなくなったかというと、そんなことはない。25mmか15mmかどちらかバーターで選んで連れて歩くことが多い。ヘキサノン28mmを選んだら外側は15mm、ロッコール40mmを選んだら25mm、という感じである。
 非球面レンズを投入していないせいか、この25mmレンズは全体的にフラット気味なのが助かる。35mmF1.7Asp.はヌケが良くてハッキリしている性格に加え、ハイライトが飛んでシャドーが潰れるものだから、もう普通に使うのは難しい。その点で25mmは少しおとなしいので、まだベッタリさ加減が救われているといえる。

 画質はこのクラスでは誉められたものだと思う。外部ファインダーつきでたったの\45,000だ。メーカー希望小売価格でこれなのだから、量販店の実販価格はかなり安いだろう。そういった価格帯の写りとしてはたいしたものだ。色分離もなかなかのもんで、画面全体もフラットな画質である。シャドーががっつり落ちるけど・・・。

 このレンズのなにがいいって、その外見だ。古いような、それでいて洗練されているような、とてもシンプルで端正な外見である。
 ピントヘリコイドに操作用のレバーが飛び出しているのもいい。目測レンズならではのピントレバーだ。慣れればレバーの位置でアバウトにピントを合わせられる。
 アバウトさに拍車をかけるのは、フォーカスクリックストップだ。3m、1.5m、1mの位置で軽くロックがかかる。まさに「スナップショットスコパー」なのである。

 買いなさいと人様にオススメはしない。現代的な基準からしたら、写りが物足りないと感じる人はおそらく多いであろうし、目測式レンズは使いやすいものではない。コシレンでこのクラスなら21mmを選んだほうが操作性も写りもいいはずである。
 このレンズは単なる私のフェイバレイトなのだ。使っていてなんだか落ち着く。のんびりと撮る気持ちになれる。古いカメラやレンズを使うより、私にとってはずっと気持ちが落ち着くレンズの1本なんである。(2004,04,20)

|
|

« 角館の続き | トップページ | SIGMA DP2 その8 »

旧機材系・再録」カテゴリの記事

コメント

なんて表現したらいんだろ・・・
この文章が気持ち良いんですよねぇ、読んでいて。
カメラ専門誌とかでは得られない感覚なんだな^^


次、機会があればSWH15mmの再録もお願いします。

投稿: Kizao | 2009年9月11日 (金) 15:08

誉められるとすぐ調子に乗ります。次の再掲はぜひ15mmで(^^;

投稿: ビヨ | 2009年9月12日 (土) 09:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 角館の続き | トップページ | SIGMA DP2 その8 »