前エントリーの補足
前エントリーに関連して、少々補足。
「ナチス」と聞くと、ホロコーストだのゲシュタポだの、悪いイメージが先行して当然な一般的認識だと思うのですが、そうと決め付けるのもどうかと、歴史に対して是々非々姿勢の私は考えるのですね。
そもそもナチスという政党の正式名称は『国家社会主義ドイツ労働者党』で、かなり左翼的な匂いがする政党だったのですよ。実際、共産主義運動が盛んであった1920~30年代のドイツにおいては、ナチスは左翼政党と民衆に思われていたようです。
党是は明らかに愛国民族右翼傾向でしたが、詳しく知らない人から見たら左翼政党に見え、大企業経営者などの資本家は共産党と結託されることを恐れていたといいます。
ナチスが民衆に受け入れられていったのは、わかりやすさと行動でした。労働者階級に対してわかりやすい政策を訴え、かつそれに対して実行する行動力。そして当時はタブーとされていたものに堂々と斬りこんでいく姿勢。民衆の不満を上手にすくい上げて見せたわけです。
そういった具体性と行動力を持っていた政党だったため、どんどん社会を作り変えてくれるのではないかという期待が集まったのでした。
ヒトラーが一般民衆出身であることも大衆にとっては受け入れやすいイメージになっていたと思われます。
公務員の家庭に生まれたものの、父が早死にし母は病気がち。兄弟に障害者を抱え、青春時代のヒトラーは画家になるという自分の夢をかなえるべく格闘したのに、挫折の連続。一兵卒として第一次大戦に従軍したりと、当時の普通の人だったのですね。
偉くなるとゴテゴテと勲章を飾り立てたくなるのが人間の性のようですが、ヒトラーは生涯ただひとつの勲章だけを佩用してました。
それは第一次大戦に参加した際に受賞した第1級鉄十字章。実際に彼は最前線で活躍し、上官に認められて昇進と受勲の栄誉に浴したわけです。いわば自分の能力だけで得た勲章で、儀礼的に与えられたものではなく、それが彼の名誉だったのでした。
彼個人だけを私人として見るならば、清廉潔白で高潔の士であり、かつ若い頃に苦労したことを忘れていない親しみやすさも持ち合わせた人間といえましょう。
労働者の味方であったナチス。高貴な生まれでもなく貴族でもない、ごく普通の人であったヒトラー。日本人の常識からしたら意外な部分を知るなら、たぶん前エントリーで紹介した新書を先入観なく読めるかと。
ただし、幾分誉めすぎな観がある内容であることだけは、勉強して補ってくださいまし。歴史というのは見る角度で大きく姿を変えるものですから。
| 固定リンク
|
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 龍を飼う男(2010.06.05)
- 第七駆逐隊海戦記(2010.05.29)
- ふと思い出して重厚な本を(2009.09.04)
- 週刊○○を作る(2009.09.01)
- 前エントリーの補足(2009.08.04)


コメント