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ニコン35Tiと28Tiについて

 クルクル針クラブのコンテンツを、予告なしでバッサリ削除してしまった。

 楽しみにされていた読者の方はおそらくいないと思う。私自身、もう2年半ほど更新してはいないし、投稿画像ときたら、おそらく5年以上皆無であろうと思われる。
 私が言いだしっぺであり、私自身がこさえてしまったコンテンツなので、それなりに責任もあろうかと考え、サーバーのお荷物ながら存続してきたのだけど、オンライン上の資料価値がもうないと勝手に判断させていただいた次第である。

 メンバーの皆様には私の身勝手をメールにて謝ってしかるべきことながら、実はほとんどの方がもう連絡が取れない状態だったりして、当バカブログの常連さんくらいしか残っていないのが実情だ。
 それでBBSにて予告らしきものを書き込ませていただいた。以前に一度廃止を検討した際には、資料価値がまだあるというご意見に従ったものの、現状の市場を俯瞰するに、もう意味がないかもなーと感じた。

 中古カメラ市場の中で、かつて高級コンパクト機と呼ばれた機種を考えてみるにつけ、ニコンTi機を積極的に選ばなければいけない理由というのが、銀塩全盛期と比較して希薄になっている。私はそう思う。
 ヌルい描写のレンズ。四角四面の弁当箱。売りであるはずの3D分割測光も、今となってはデジタルコンパクト機の多分割測光に劣る。
 外見的なギミックに惹かれたものの、使ってみたらガッカリ。そんな意見がおそらく銀塩全盛期よりも多くなるのではないか。それに対するオススメしちゃってるコンテンツの責任ってやつはどうなのよ?

 ブログの記事ならまだしばらく残ることであろうと考え、この際本音でクルクル号に対する個人的覚書を書いておき、せめてものコンテンツ全廃の代替としたい。

Ti02

 ニコン35Ti/28Tiについて、まず一大欠点としてレンズのヌルさがある。伝説的ニッコールのキレを期待してはいけない。かつての一眼ニッコールよりもマイルドな写りだ。

Ti03

 ただし悪条件下ではニッコールを名乗るだけあってかなり粘る。逆光ではそれなりなのだが、光線が弱くなる薄暮から夜間にかけての粘りはさすが。

 ここで残念になるのが、AF(オートフォーカス)の弱い個体が存在することである。これについては長年不明だったのだけど、15年ほど35Tiを使用してきて、ある日いきなりAFが迷うようになった体験から感じるようになった。
 ピントが合いにくいという苦情はクラブのメンバーさんから上がっていた。けれど私はそんなにAFで困ったことがなかった。普通のAFコンパクト機を使う上でのお約束を遵守していれば、ピントを大ハズシして泣くことはなかったのである。

 「普通のAFコンパクト機のお約束」とは、ファインダー上に示されるAF測距範囲をかたくなに守り、かつピントが合いやすそうな被写体に注目してレリーズボタンを半押しすることである。
 ピントが合いやすそうな被写体の特徴は、おそらくカメラの取り説にガッツリ書いてあるはずだけど、ゴツゴツしている凹凸の激しい被写体とか、明暗差と立体感がハッキリしてる被写体である。
 クルクル号に限らず、デジタルコンパクト機でも変わらず、コンパクト機のAFについては、機械が自動的にピントを合わせやすい状態を作ってやることが先決であり、撮影者自身の距離感で、ピントを合わせたい被写体と同じような距離にある別のものを利用してカメラのAFを動作させる。

 こんなに細々と説明しなくても、それなりに撮ってきた人は本能的に実行していることなのだけど、カメラが万能であると思い込んでしまう撮影者にとってはクリアしづらいハードルのようではある。
 光線に恵まれず最初からAFに期待できない状態、すなわち夜景の遠景などでは、あらためて手動でピントを設定する。MF(マニュアルフォーカス=手動ピント合わせ)に切り替えればいい。
 このMF機能を装備しているかどうかは、普通のカメラと「高級」の境目のうちのひとつだったりした。
Ti07
 コロリとヤラれることが多いクルクル号のクルクル針である。上の画像の「3」が距離指標であり、AF時もMF時も動作する。
 カメラ上部にあるAFボタンを押しながらダイヤルを回すと、MFゾーンに針が移動する。これを利用して手動で距離を設定するのである。
 実際にメジャーを取り出して被写体までの距離を測ってみてもいいが、基本的には勘。カメラのレンズには絞りというものがあるのだから、勘で不安なら絞ってしまえばいい。もちろんその場で許される条件のシャッター速度を勘案しつつ、だが。

 クルクル針には夜間照明が装備される。画像でいうとオーバル形のユニット上部に小さなランプが仕込まれている。また夜間照明としてファインダー情報を照らして表示する赤いランプも内蔵している。
 この赤という色の選択は、夜間に目立たない色としてシブい選択と私は思ってるけれど、たぶん世の中の大多数の人はセンスが悪いと思うかもしんない。興味のある人は軍事系のサイトを検索して調べてみてくれたまえよ。

 よく欠点として語られる35Tiのスピードライトボタン。操作性がかなり悪いにも関わらず、この頃のニコンコンパクト機は内蔵スピードライトの発光キャンセルボタンという方式を崩さなかった。

Ti06

 28Tiに装備されているスイッチはスライド式の三択である。けれど35Tiのものは違う。上のボタンが強制発光ボタンで、下のボタンは強制キャンセルボタンだ。

 ニコンさんの言いたいことはよくわかるんだが、内蔵スピードライト(フラッシュorストロボ)の発光をキャンセルしたい時というのは、たいてい光が少ない時で、撮影者は手ブレをかなり気にしている状況なのだ。そんな時に押し続けていなければいけないボタンがあるというのは、手ブレを増強するようなものなのである。
 カメラが「暗い」と判断して自動で内蔵スピードライトを焚きたくなる場面というのは、すなわちそこが暗いからなのだけど、それでも撮影者はスピードライトをやんぴしたいのだから、手ブレを気にして当然のケースが多い。
 日本陸軍の小銃操典ではないが、引き金を引く時は霜が降り落ちるがごとく静かに無理なくやるもので、カメラのレリーズもまったく同じ。
 ましてや手ブレを警戒している時は、自分の身体や手に余計な力を加えないのが当たり前なのに、発光キャンセルボタンを押し続けていなければいけないというのは大きな矛盾なのである。

 そこで、35Tiのスイッチを28Tiのものにメーカー交換してもらうという手が流行り、ニコンさんが粋なことに素直に対応してくれたものである。
 おかげで35Ti/28Tiのメーカー在庫部品の中で最初に払底したのは、28Tiのスピードライトスイッチであった。メーカーさんも笑うに笑えない事態であったことであろうと思う。
 したがって、今から35Tiを中古で調達しようとするなら、この内蔵スピードライトスイッチに注目しておくと吉である。間違いなくデフォルトの35Tiより使いやすくなっている。

 AFの動作音が甲高いという点も、欠点といえば欠点かもしれない。しかし当時のコンパクト機として標準的な能力でしかないAFを思えば、動作音でカメラがどのあたりにピントを合わせたかがわかるので、あえて欠点と決め付けるべきものではないと私は思ってる。
 ちなみに動作音は長いほど近距離にピントを合わせている。つまり近景にピントを合わせているつもりなのに動作音がやたら短いとするなら、遠距離や無限遠にピントが合ってしまってる可能性があるということだ。

 露出に関しては大きな不安がない。ここがクルクル号最大のキーポイントであり、よほど複雑な光線じゃなければカメラ任せでイケる。
 ただ点光源だけは対応できない。点光源とは、画面の中にポツンとやたら明るいものがある場合のことだ。シルエットの中に光り輝くものがあったりする場合もそうだ。
 その際にはカメラ上にある「+/-ボタン」を押して、クルクル針の「4」である露出補正指針を動かして+1から+2の範囲にしておくといい。
 このへんは当時の一眼レフもまったく同じで、なにもクルクル号に限ったことではない。当時の分割測光は極端な点光源に対応できなかったのである。

 また、個人的感想ながら35Tiと28Tiでは露出傾向に差があると思っている。この差とは、露出補正が+-ゼロになっている際のことだ。

Ti05

 35Tiは露出がオーバー傾向にあり、ネガフィルムを使うならそのままでもイケそうだが、リバーサルを使うなら-1/3か-2/3くらいに固定設定しておいたほうが結果がいい。
 オススメは-1/3だ。このへんは参考にしていただいてご自分で決定していただきたい部分だ。

Ti08

 だが28Tiはそういった固定露出補正は不要のようで、リバーサルフィルムを使っている時でも自然な露出になることが多い。
 個人的にいろいろ推測することはある両機の差だが、そういった傾向の差があるということだけご記憶しておいていただきたい。

 両機の差といえば、一番の差は搭載レンズの画角などではなく、その表面仕上げかと思う。画像をご覧いただければ一目瞭然、色が違う。35Tiはチタン合金色、28Tiは黒塗装である。
 特筆すべきは28Tiの黒塗装。サラリと塗られた黒塗装ではなく、ニコンファンは「黒縮緬塗装」と呼ぶ、凹凸がある独特のものだ。この縮緬塗装が大変に上品なだけではなく、実用性十分なのである。

 35Tiの場合は表面にガラス塗膜というか、保護のために透明な皮膜がある。このおかげでけっこうツルツルと滑る場合がある。夏場に汗をかいてたりすると危ない。
 28Tiは縮緬塗装のおかげで手が滑るようなことはなく、弁当箱様の形なのによく手にフィットする。黒ボディなのでカメラが目立たないという利点は当然である。

 安易にオススメして撮影結果がガッカリ、という責任はまったく持てない当バカブログながら、どうしても手を出したいなら28Tiをオススメしておく。
 現行機ではなく中古で入手するしかないため、35Tiと比較した際に、少しでも気を使う面が少ないし、黒縮緬塗装をぜひ味わっていただきたいと思うからだ。

 また、使用するフィルムはできれば硬めのものを選んでいただきたい。「硬め」とはコントラストがキツくなりがちなフィルムである。
 クルクル号のレンズは大変にあっさり風であり、先述したようにニッコールのシャープさはない。それをフォローするためにキツく出るフィルムを合わせる。
 発色もニュートラルすぎるので、物足りなさをカバーするなら色が派手に出るフィルムを組み合わせたい。
 となれば、カラーネガならフジの100系、リバーサルならコダックのEBXかE100VSあたりがいいかと思う。フジのリバーサルならベルビア50かな?

 

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コメント

管理、ご苦労様でした。
Ti号は、結局、28しか所有しませんでしたが、なかなか、気に入っていました。
35に比べて、28の方は更に描写が甘いという指摘が多かったのですが、なかなかどうして、いい感じだと思っておりました。
残念ながら、28mmの画角をキッチリ扱えるほどの技量がなく、持て余し気味なのが残念。
B/Wを詰めて撮影してみたいと思いながら、なかなか実行に移せず。このNikkorは、カラーよりも、そっち方面で実力を発揮するのではないだろうかと思っているのですが。。。
一癖ある機械ですので、それを楽しめる向きであれば、オススメできると思いますよ。でも、どうせなら、一眼でしっかりと作品を作りつつ、写真ではなく、別の遊びの方に集中したいときのパートナーという贅沢な使い方の方がいいと思いますけれども。
と、いい加減なことを書いて去る。
最近、このパターンばっかりのような気が。(^^;

投稿: Nori | 2009年2月12日 (木) 21:55

28mmも選ぶフィルム次第でカバーできると私は思っておりますよ。といっても、あたしゃもうしばらくXP2オンリーですが(´;ω;`)
 
湯沢に持ってく銀塩機は28Tiの予定♪

投稿: ビヨ | 2009年2月13日 (金) 18:22

お誕生日おめでとさんです!

これからも一度35か28Tiを仕入れようかと思っている人もいるのにー!

で、結局のところ雪祭りは行ったんですか?^^

投稿: bean | 2009年2月14日 (土) 20:35

秋田でリバーサルは厳しいっすよー。カラーネガじゃ面白味がないレンズだと思いますし・・・・。自家処理やっちゃいます?(^^;
湯沢横手は明日行きます。日帰りで。夜のかまくらまでフォローしたいとこでやんす。現地は雨模様のようですけどもね(´;ω;`)

投稿: ビヨ | 2009年2月14日 (土) 21:06

両方持っていて正規のオーバーホールに出して、35Tiは28Tiのスイッチに改造していただきました。しばらくGRばかり使っていましたが、久しぶりにE100Gを詰めて使っています。

ブログでお書きになっている特長の印象を私も持っています。端的に書き表されていて嬉しくなりました。

現行ラインで売れなかったカメラの評価が高いというのはメーカーにとっては嬉しくないけど、設計者にとっては嬉しいことかもしれません。

投稿: かめお | 2010年4月23日 (金) 23:11

ニコンTi後に登場したライバル機が、みな写りの個性を
伴っていたのに対し、Tiはカメラとしてのおもしろさは
あっても、写りはおとなしかったですねえ。
それでも分割測光搭載のアドバンテージは今でも変わらず、
こと露出に関してはあまり考えずにレリーズできる気軽さが
メリットですね。
フィルムを選ぶことで好みの写りへ変えられる楽しみ
というのは、デジタル機にはないものでした。
アナログ時代は楽しかったっす。組み合わせの結果を
見ることが。

投稿: ビヨ | 2010年4月25日 (日) 07:29

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