« スルーの理由 | トップページ | 提案しただけでも男気を感じるではないか »

お人好し

 珍しく私はお彼岸の墓参りという殊勝な行為に出て、オフクロんちに行ってたんだけども、そんな祝日に限って「日暮れまでデートしません?heart」「お食事でもいかが?heart」なんていうありがたいお誘いが次々と来るのはどういうわけだ。

 普段の暇な休日にはなんにもねえのにな(^^;

 話は変わって。どうも今年は友人知人同窓生関係が仕事を辞めてやたら秋田へ帰ってきてるのだけども、また1人、かつて在籍した会社の同僚が帰ってきた。女性である。というより当時のイメージからしたら女の子なんだが。

 たしか私より10歳ほど年下であったと記憶してるが、入社は私と同期であった。まだ彼女は未成年であった。
 彼女はいわゆる「ヤンキー」であったが、田舎育ちのせいか素直な性格で、明るくノリが良く、しかも見た目はかわいいので、人気者であった。

 自分は頭が悪いという意識が強かったせいか、彼女は自分の長所、人当たりがいいことを武器にするしかないと思い込み、ひたすら得意先に突撃して行った。そして次々と得意先と仲良くなっていき、お客の信頼を確保していった。
 ヤンキー上がりであることなどなんのハンデにもならず、逆に同期の中では一番に昇格するのではないかと平社員一同で感じていた。

 いわば人徳とでもいおうか。年下にタメ口なんざ叩かれようもんなら、ちょっくら顔を貸してもらうタイプの私であっても、彼女に対してはなんら抵抗がなく、基本的に態度はあまりよろしくないはずの彼女は、誰からも好かれるタイプなのであった。

 けれど、基本的にヤンキーなので、会社を辞めてからちょいと道を踏み外していろいろやらかし、その後上京してバリバリ仕事をしていたようだ。
 なにか大きな出来事があると、何年かに1度くらいは連絡を寄越し、結婚したことや離婚したことを知った。
 多くは語らなくても、その前後の状況はなんとなく想像がつく。若い時は裸のつきあい(変な意味でなくてな)に近いものがあったんで、人柄はわかりきってる。
 仕事に対して充実感を覚えているのであろうとか、人間関係で苦しい思いをしたのだろうなどと、明るく語る彼女の電話の声からいろいろ推測したものであったよ。

 そんな彼女が秋田へ帰ってきた理由はまだ聞いていないものの、いろいろと近況をやり取りしてたら、なにげなく彼女からしみじみと「ビヨ兄はあいかわらずお人好しなんだねえ・・・・」と言われた。
 おお、なんと私は若い時からお人好しだったのか!おめーの目にも俺はお人好しに写ってたんかよ!と、いささかショックであったものの、私の口から出た言葉は「性分だから仕方ねえのよ・・・・。」なのだった。達観してんな、俺っち。

 ああ、私は酔っ払った彼女の面倒見が良かったせいか、いつも最後は彼女をおんぶして飲み屋を後にしたものだった。
 泥酔してる彼女の重みを背中に感じ、背中が暖かいってのもいいもんだな、なんて若い私は思ったものである。まだやりたい放題のノリではないウブな頃の話だ。
 半分寝言に近い彼女のつぶやきを耳にしながら、まったく無防備なんだよなあと多少イラつきつつも、ミニスカートのおめーはオケツ丸出しでざまあみろなのだ、なんて思ったりして。

 ヤリたいだけの男ならそのままベットの中に持ち込むよな、という場面が一度だけあった。
 このままじゃ私はおんぶしたままお持ち帰りするしかない。細かくは書かないが、そんな物理的状況に私は追い込まれた。記録的な大雪の夜で、あらゆる交通機関が麻痺してしまっていたのだ。

 「俺んちベットも布団も一組しかねーぞ。」と背中の彼女につぶやいてみても、泥酔してるしもはや早朝という時間帯なので眠くて仕方ないのだろう、なにも返事はない。

 「あのな、俺だって男なんだから。同じベットで無防備な姿をされたら、チンポが大きくなるかもしんねえんだぞ?やっちまうかもしんねえんだぞ?」

 「・・・・ビヨ兄はそんなことしない人だよ。」

 「おめーな、そのまんまの格好で寝せるわけにはいくまいよ。脱がさなきゃなんねえだろ。ムラムラしちまうに決まってる。俺は我慢する自信ないね。絶対にボッキする。」

 「・・・・・・・・・。」

 「それでも俺んちに泊まるってのか?俺と同じベットで寝るってのか?」

 「・・・・・・それでいい。」

 「!?」

 大雪を踏みしめて歩く自分の足音が、ミシリミシリと、いつもより大きく聞こえた。背中に背負う彼女の重みだったのか、緊張して神経が研ぎ澄まされた私の感覚のせいだったのか。

 そのすぐ直後、彼女を自宅へ送り届ける算段を発見し、私は彼女を無事に送り出した。その時はそれがベストの選択だと思った。それでいいのだと思っていた。

 けれど、あれから15年目にして「あいかわらずお人好しなんだねえ・・・・。」と言われた一言というのは、実にあの場面にあったのではないかと、今ではすっかり軟派になってしまった私は理解できる気がする。
 気のせいか?考えすぎか?いや、考えすぎなのは当時も今も変わらないが、少なくても今の私はあの頃よりも大人になった。いい意味でも悪い意味でも。

 彼女もそうだ。結婚して、そして離婚して、少しだけ大人になった気がすると言っていた。
 そう、彼女も私も同じで、経験してみなきゃ理解できないアホってのは必ずいるもので、けれど経験したからこそ身につくものってのも、確実にこの世の中には存在しているのである。

 だからといって私のお人好しが変わるわけではなし。ただ、余計なことを彼女が口にするので、忘れていたことを私が思い出してしまっただけのことである。

R1633id4

  

|
|

« スルーの理由 | トップページ | 提案しただけでも男気を感じるではないか »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

良い話だねぇ。
なんかしみじみ読んじゃったよ。
年を取ったって実感はないんだけどさ、実際。
でも確実に昔 が増えていくんだよね。
伊豆の踊り子にね、好きなセリフがあってさ。
「いい人は、いいね」って短い踊り子のセリフなんだけどね。

いや、ホントの事だよね。
やっぱりビヨさんはいい人なんだよ。
一回一緒に呑んだだけのおいらが言っちゃいかんかもしれんけどネットじゃもう何年もかまって貰ってるからね。

なんか俺もいろいろ貰ってるんだ(物じゃなくってさ)

投稿: ぴゅんぴゅん | 2008年9月23日 (火) 22:58

そんな暖かいこと書いてくれんのさ、ぴゅんぴゅんさんだけよ・・・・。

また個人的露悪趣味を発揮してしまったのではないかと、翌日になってから少々後悔しております・・・・。

ネタになった彼女は、上京してからバリバリ現役の勤労女性でやんした。いちおー彼女の名誉のために書いとく(^^;

投稿: ビヨ | 2008年9月24日 (水) 18:15

以前、ビヨさんは自分のことを「エアー硬派」だなんて
言っていたけど、ぼくは今でもビヨさんのことは
逆に「エアー軟派」なんだと思っていますよ^^

投稿: Kizao | 2008年9月24日 (水) 21:20

どっちでも現実はたいして変わらないので(^^;

とうせ最近は「単なるスケベ親父」ですしね・・・・。

投稿: ビヨ | 2008年9月25日 (木) 18:35

武士ですねえ。
高楊枝の心意気を忘れちまったら日本男児じゃありやせん。

お人よしにやせ我慢、カッコいいです。

投稿: エンゾー | 2008年9月26日 (金) 23:38

武士は食わねど高楊枝っすか。

チャカすわけじゃありませんが、終戦直後にそれをやって餓死した裁判官一家があったっしょ。
現実はガツガツ食いまくって我慢せず突撃すんのが人間として正解なのではあるまいか?

そんな具合に、ここ数年、ホントはいかにワガママに生きたかが人生の尺度なのではなかろうかなどと、考えることがありマス。

投稿: ビヨ | 2008年9月27日 (土) 07:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/118262/42571314

この記事へのトラックバック一覧です: お人好し:

« スルーの理由 | トップページ | 提案しただけでも男気を感じるではないか »