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無粋ながら

えー。競馬のことをよく知らない読者から、どのくらいの事件が起きたのだと質問がありまして。無粋ながら説明。

競馬の馬っつーのは、普通は2歳でデビューして、翌年の3歳でクラシックシーズンを迎えます。
「クラシック」といってもジジイの出るレースではなく、人間でいえば甲子園世代っつーか、高校生から大学生くらいの感覚です。
学生選手権がクラシックレースだと考えれば無理がありません。
学生選手権ですから、社会人=大人は出走できません。

人間なら高校3年間、大学4年間という長い期間がありますが、馬にとってはたった1年しかない期間なのですね。
しかも3歳しか出られないのがクラシックレースですんで、人生(馬生)でたった一度のチャンス。

つまり『年間で6000~9000頭ほど生まれるサラブレッドの中で、日本ダービーに出走できるのはたった18頭』なのです。
ダービー18着でも、日本で18番目に強いと言えるだけのものがあります。
18/9000の確率を潜り抜けただけで、かなりの幸運な馬であるのですよ。
牡馬三冠レースを表現する言葉に『皐月賞は速い馬が勝つ。ダービーはラッキーな馬が勝つ。菊花賞は強い馬が勝つ。』と言われるくらい、参戦するのも難しいのが日本ダービーなのですね。

なんだかんだで、日本最高峰のレースと位置づけられてるのが日本ダーピーだったりします。

ダービーよりも過酷な条件のレースはありますし、むしろ大人になってからのレースに本来の能力が出るともいえますが。
甲子園球児がプロ野球で活躍するように、日本ダービーっつーのは夏の甲子園なのですよ。
ダービーで勝って以降、二度と勝てないままに引退した馬もいます。
楽天の田中投手は、いわばダービー2着の惜敗馬が古馬になってから活躍してるようなもんで。

3歳牡牝定量という条件ながら、実際にはオス馬しか出ません。
なぜかというと、同じ年齢ならば牝は牡に勝てないという法則があります。
『牡ばかりの群れの中では、牝は能力を発揮するのが難しい』のですね。
身体能力的にも精神的にも負けるというのですが。

これが微妙なところで。
なにが微妙かって、人間だって小学生から中学生にかけては女子のほうが身体が大きかったりするでしょ。
同じ哺乳類の馬だって、時には牝のほうがタフな時もあるんですよ。

一般に3歳牝馬はデリケートで、好不調の波が不規則で予測しにくいといわれています。
けれど身体の根本的タフさだけ切り取れば、おそらく牝のほうがタフな時期でもあると私は思ってます。
デリケートさがなく、かつ身体能力の高い馬であれば、牡を負かす牝馬がいてもおかしくはありません。

それにウォッカはカントリー牧場出身。スパルタ教育の申し子なのですね。
カントリー牧場は子供のうちに潰れる馬が続出するというくらい、ハードな教育が売りの牧場だったりします。

スパルタ教育で生き残った牝馬ですもの。それに気がついたのは馬券を買った後(^^;
派手にヨダレをタラしているわりに、表情そのものは落ち着いていて。

でもやっぱり牡馬よりも身体が薄く見えて。いまひとつ信用ならんかったのです。私は。
3歳で牝馬が牡馬に勝つのはかなり難しい。そういう固定観念が強かったとみえて。

エアグルーブやヒシアマゾンのような強い馬なら、牡馬にケンカを売れますし、見てるこっちも納得です。
ただその強さの評価というのは、一般的に古馬になってから定着するもので、3歳の夏には可能性の範囲でしか語れないものなのです。

本当に強いかもしれない牝馬を日本ダービーに参戦させ、惨敗しようもんなら、関係者は針のムシロですわ。参戦させることそのものにかなりの勇気が必要とされるのですよ。
いくらウォッカが強いとはいえ、牝馬相手のマイル戦で結果を出してきた馬ですし、絶対に勝つといわれていた牝馬のみのマイル、桜花賞は2着で取りこぼし。
それを日本ダービー直行ですもんね。関係者の勇気はかなりのものですよ。

そういった数々のものを乗り越えて日本ダービーへ参戦し、しかも3馬身ぶっちぎった切れ味というのは、牡馬でもなかなかできない芸当ですよ。
すべてがウォッカに味方した。そう表現するしかありませんね。
現実的に、歴代最強牝馬と位置づけてもおかしくはないんじゃないですかね?

この後はおそらく牝馬路線の秋華賞へ向かうか、あるいは秋の天皇賞で古馬にもケンカを売るかするかと思われますが。
夏場を海外G1レースで過ごすかもしれませんね。

そのくらいの可能性があるすごい馬なのですよ。ウォッカという女傑は。

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